建設アスベスト訴訟 最高裁判決 長崎県原告「早期救済を」

 建設アスベスト訴訟で最高裁が国の賠償責任を認める統一判断を示した17日、福岡地裁で係争中の「九州訴訟」の長崎県原告からは国などに対し「早期救済を」と求める声が上がった。
 九州訴訟の原告は最高裁に上告中の第1陣、福岡地裁で係争中の第2陣合わせて116人。うち本県の原告は遺族8人を含む10人。
 「今、苦しんでいる人たちを早急に救済してほしい」。昨年11月に提訴した遺族原告の男性(40)は個人事業主に対する国の責任を認めた最高裁判決を評価し、声高に訴えた。
 男性の父は西海市内に暮らしていた。個人で建築関係の仕事をしていたが、中皮腫を発症。昨年2月に65歳で亡くなった。苦しさを訴え緊急入院したが、入院費用の工面などに苦慮した。男性は「原告は被害の氷山の一角。早期に発見し救済する枠組みを」と求めた。
 早期解決を目指す与党のプロジェクトチーム(PT)は和解案を検討しており、訴訟を起こしていない被害者についても基金創設を目指している。
 九州訴訟の山本一行弁護団長は「(最高裁判決が)九州の原告にも追い風になるのは間違いない。国との和解や企業を巻き込んだ基金づくりに向けた大きな武器になる」と話した。
 建設アスベスト訴訟全国連絡会は19~21日午前10時~午後4時、全国一斉電話相談会(電0120.110.745)を実施する。

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