萩尾望都を大特集『別冊NHK 100分de名著 時をつむぐ旅人 萩尾望都』が発売! 少女漫画の概念を変えた稀代のストーリーテラー!

1969年から半世紀以上、 文学性に富んだ作品を数多く世に送り出し、 「少女漫画の神様」とも呼ばれる萩尾望都。 SF、 ファンタジー、 ミステリー、 ラブコメなど多岐なジャンルにわたる作品たちは、 今でも多くの読者を魅了し続けている。 このたび発売の『別冊NHK 100分de名著 時をつむぐ旅人 萩尾望都』(NHK出版、 2021年5月25日刊)では、 萩尾望都を語るうえで欠かせない5作品を、 彼女の熱烈なファンである評論家や作家のみなさんが深く掘り下げていく。 各作品解説の後には、 NHKの特別番組「100分de萩尾望都」では紹介しきれなかった萩尾望都自身のスペシャルインタビューも収載するなど、 盛りだくさんの一冊。(※本書は2021年1月2日に放送されたNHK番組「100分de萩尾望都」をもとに追加構成してムック化したもの) 萩尾望都の作品が少女漫画史に燦然と輝くのは、 その高い文学性によるものと言える。 少女漫画といえば恋愛もの、 とイメージされがちだが、 萩尾望都はそこに実存、 不条理、 魂の救済、 差別、 家族の相克など普遍的な哲学的命題を提示し続け、 私たちが抱く少女漫画の概念をがらりと変えてみせた。 本書では、 その深遠な世界観を、 いずれ劣らぬ萩尾愛に満ちた4人の論者が語りつくす。 第1章では、 『トーマの心臓』をSF&ファンタジー評論家の小谷真理が、 第2章では『半神』、 『イグアナの娘』を漫画家・エッセイストのヤマザキマリが、 第3章では『バルバラ異界』をフランス文学研究者・翻訳家で学習院大学教授の中条省平が、 第4章では『ポーの一族』を作家の夢枕獏が読み解いていく。 巻末には、 13ページにわたる萩尾望都のスペシャルインタビューを収載。 幼少期の思い出から漫画家を志したきっかけ、 本書で取り上げた5作品や最新作への想いから意外な真相まで、 ファンにはたまらない内容がたくさんつまっている 。コロナ禍でまだまだ続きそうなおうち時間。 今こそ、 私たちを「ここではない、 どこか」へ連れていってくれる萩尾望都作品の魅力に触れてみよう。

紹介作品について

『トーマの心臓』(1974) ドイツのギムナジウムの少年たちの愛憎劇。 「とても難解だと」される本作の、 「わからなさこそが魅力」だと小谷真理さんは説きます。 少年を描くことで却って、 当時の少女たちは「女の子らしさ」から解き放たれた自由な世界や知的な美しさを、 萩尾作品から得られたのだとも。 様々な愛の形を考え、 SFとして読み解くことで、 抑圧されている人たちへの助けにもなると示します。 『半神』(1984) 『イグアナの娘』(1992) 母娘の葛藤を描く短編2作に、 「世間が求めるかたち」と「ほんとうの自分」の乖離の問題を読み解いたヤマザキマリさん。 漫画家として多大な影響を受けた萩尾さんへのトリビュートとして特別描きおろしイラストも収載! 『バルバラ異界』(2002~2005) 夢と現実、 過去と未来が交錯するミステリー仕掛けの群像劇。 遺伝子操作や集合的無意識、 カニバリズムまで取り込んだ日本SF大賞受賞作の今日的意義を、 幅広い文化評論でも活躍する中条省平さんは、 優れたヒューマンドラマでありながら、 全体主義化、 反知性化に警鐘を鳴らす社会批評としても読み取りました。 『ポーの一族』(1972~) 永遠の14歳として生き続ける少年吸血鬼(バンパネラ)の大長編。 夢枕獏さんは、 萩尾作品を、 読むことで「魂が透明になる」と評します。 物語の展開が複雑な『ポーの一族』について、 その設定の卓抜さの数々を、 小説家ならではの視点で賞賛しつつ、 様々に解釈ができることを、 作品と読者の関係として「美しい誤解」だとも肯定します。 また、 40年ぶりの「復活」を促した経緯も語られます。

『別冊NHK 100分de名著 時をつむぐ旅人 萩尾望都』構成

巻頭カラー口絵8ページ はじめに――ここではない、 どこかへ!(番組プロデューサー 秋満吉彦) 第1章 『トーマの心臓』 小谷真理――究極の愛と、 解放される魂 第2章 『半神』『イグアナの娘』 ヤマザキマリ──実存の命題に迫る 母娘の寓話 第3章 『バルバラ異界』 中条省平──現代の巫女が生みだした SFの枠を超える傑作 第4章 『ポーの一族』 夢枕 獏──ひとりではさびしすぎる 新たな旅の始まり 萩尾望都先生へリクエスト!(4人の論者からのメッセージ) 萩尾望都スペシャルインタビュー 萩尾望都 略年譜

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