前戦SS1でリタイアのロバンペラ「自分に合っているラリーだと思う」/2021WRC第4戦ポルトガル 事前コメント

 WRC世界ラリー選手権は5月20~23日、2021年シーズンの第4戦ポルトガルが開催される。この『ラリー・ポルトガル』を前に、最高峰のWRCクラスに参戦するMスポーツ・フォード、ヒュンダイ、トヨタの各陣営から今戦に出場するドライバーたちの事前コメントが発表された。

 前戦クロアチアから約1カ月後、ポルトガル北部に位置する大都市ポルトの郊外にあるマトジニョスをを中心に行われるラリー・ポルトガルは、今季初めて行われるグラベル(未舗装路)ラリーだ。

 2019年は新型コロナウイルスの影響で中止されたこのイベントは長い歴史を持つラリーで、ラリーカーが大ジャンプを披露する名物ステージの“ファフェ”もその伝統のひとつだ。

 2年ぶりの開催となる今季は2019年大会と多くの部分を共有。競技は木曜のシェイクダウンとセレモニアルスタートを経て21日(金)に開始される。

 その初日は中部の古都コインブラ付近で3本のSSを午前と午後の各2回走行し、その後20年ぶりに行われるモルターグァのSS、さらにロウサダのスーパーSSという計8つのステージを走行する。なお、この日は日中のサービスが設定されていないため選手たちのマネジメント能力が問われることになる。

 今大会最長165.16kmで争われる翌22日(土)は、ポルトの北東エリアにそびえるカブレイラ山脈を中心に設定された3ステージ計6本のSSを、午前と午後のループに分けて走行。1日の最後に市街地ステージでさらに1本のSSを行う。
 
 最終日は5本のSSで争われ、そのうちSS18とSS20は名物ステージの“ファフェ”となる。最終SS20はステージトップ5タイムを記録したドライバーとマニュファクチャラーにボーナスポイントが与えられるパワーステージだ。

■Mスポーツ・フォードWRT

●ガス・グリーンスミス(フォード・フィエスタWRC)

「僕はこのラリーについて、実際どれだけ厳しいものかということよりも、いかに走行を楽しむかということを考えている。ラリーを愛する国に行くのはとてもクールなことだ。だから僕はシーズンのなかでもこのイベントをもっとも楽しみにしているんだ」

「これは以前、WRCカーで初めて出たイベントなんだ。だから経験を活かせる最初のイベントということになる。最初の走行ではグリップがありトラクションがかかるクルマが求められるが、かなりルーズになる傾向がある。でも2回目の走行では砂が掃けられて固く荒れた路面が現れるから安定性を確保できるクルマがいいね」

「僕はいつも自分に目標を設定するけれど、トップ5入りは現実的なものだ。クロアチアでは、不運なテクニカルトラブルでタイムを失わなければ5位でフィニッシュできたはずなんだ」

「でも良い進歩があったのは確かだ。ポルトガルでも同じようにまた前進したい。とくに、コドライバーの変更があったなかでクロアチアではポジティブだったからね。しかし、このレベルでトップ5を達成するには、すべてを適切に行わなければならないし、ミスを犯すことはできない。今回はそこが集中すべきところだね」

●アドリアン・フルモー(フォード・フィエスタWRC)

「(ふたたびWRカーで)スタートするのが本当にうれしいし興奮している。リッチ(リチャード・ミルナー/チーム代表)が僕に、このラリーに出ることになったと話して以来、ずっとこんな感じだよ」

「2019年に僕は観客としてここにいた。このラリーに参戦するのは今回が初めてだから、大きな挑戦になるだろうことは分かっている。でも良いペースを出して、週末全体を楽しみたい。クロアチアでそうだったようにね」

「大きな期待は抱いていない。目標はクロアチアと同じだ。一部のステージで良いペースを出してトップ6か7、もしくはトップ5のタイムを出せたら、僕にとっては良い結果だ」

「僕はそれに自信を持っているけれど、今はまだ学んでいるところだ。僕の好きなサーフェスはグラベルで、グラベルラリーでは良い結果を出してきたよ。2019年のラリー・GBも含めてね。そこではWRC2クラスの2位でフィニッシュしたんだ」

「準備のためにWRC Plusでこの数年分のたくさんの映像を見てきた。ある場所はかなり道が荒れて見えた。2回目の走行で道路には多くの岩があった。一部のステージでは1回目の走行は砂が多く、だいぶ柔らかいグラベルのようだ」

「でも、そのすべてが素晴らしく見え、本当に素晴らしいラリーになると確信しているよ。もちろんファフェ(SS18/SS20)のジャンプは、まちがいなくシーズン中でもっとも有名なジャンプのひとつだよ」

2019年WRC第7戦ポルトガル スーパーSSの様子

■ヒュンダイ・シェル・モビスWRT

●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)

「ラリー・・ポルトガルはいつもWRCカレンダーのハイライトだよ。とくにその雰囲気がね。いつもステージには数十万人という観客がいるし、有名な日曜日の“ファフェ”のステージもそうだ。もちろん今年の状況は違うだろうね」

「それでもステージは素晴らしく見える。一方でそれは困難で長いラリーになるだろう。走行時間が長くやるべきことはたくさんあるが、最後に笑う勝者はひとりだけだ。優勝を争うためには最高の調子を出さなければならない」

●オット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)

「今シーズン初めてのグラベルイベントのための準備で忙しかったよ。僕たちの目標は、トリッキーで力を出し切れなかったクロアチアの週末から立ち直ることだ」

「ポルトガルの道路は一般的には柔らかくて砂が多い。一方、2回目の走行時にはかなりラフな路面になる。それぞれのマシンが通り過ぎた後のグラベルはすごく荒れるからね」

「日曜日の“ファフェ”のステージはとても特徴があってきついところだ。でも僕たち全員が楽しみにしているステージのひとつだよ。全体としてトリッキーなイベントだ。でも正面から取り組む準備はできている」

●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)

「ポルトガルは僕にとっていつも特別なところだ。(母国の)スペインにとても近いからね。道路と雰囲気が本当に好きなんだ」

「これまでの年は、ステージに並ぶたくさんの観客からの特別な応援を楽しんだものだった。今年は(新型コロナウイルスの)状況のせいで同じようにはいかないようだけどね」

「でも、ともかく競技に出るチャンスをうれしく思っているよ。ポルトガルに戻ることに興奮している。僕はこのステージを気に入っているんだ。グリップが少しあるけれど“ファフェ”はとても滑りやすい。エキサイティングな週末を過ごすつもりだよ」

ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC) 2019年WRC第7戦ポルトガル

■TOYOTA GAZOO Racing WRT

●セバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)

「ポルトガルに戻ることができて、とてもうれしい。個人的にポルトガルは僕にとってもっとも特別なラリーのひとつなんだ」

「2010年に初めてWRCで優勝したラリーだし、その後も何度か優勝しているからね。また、ポルトガルはモータースポーツ、特にラリーへの情熱が非常に高い国であり、毎回素晴らしいサポートを受けている」

「今回はステージの出走順が1番手となるため、厳しいコンディションでの走行が予想されるが、ポルトガルではこの時期雨が降ることもあるので、そうなってくれることを期待している」

「実際のところ、ラリー前のテストで路面はかなりウエットコンディションだった。反面、ピレリの新しいグラベル用タイヤで、まだあまりドライコンディションの道を走れていない。いずれにせよ、正しいタイヤを選び、それをできる限りうまくマネジメントすることが、このラリーでは非常に重要だ」

●エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)

「ラリー・ポルトガルはとてもいいイベントだし、今シーズン最初のグラベルラリーとしてふたたびこのラリーに出場できることをうれしく思う」

「開幕からの4戦はいずれも大きく異なるイベントで、ほぼ4タイプの路面に挑むことになる。ここまで戦ってきたラリーと同じように、ポルトガルでも新しいタイヤに慣れながら戦うことになるだろう」

「事前のテストではすべてが順調だったが、ラリー本番では例年と同様に使用できるソフトタイヤの本数が少ないため、タイヤ選択に影響が出る可能性がある」

「最後にグラベルラリーに出場したのは、昨年のラリー・イタリア・サルディニアだった。それからかなり時間が経っているため、どうなるのか予想がつかないけど、いつものようにベストを尽くして臨みたいと思う」

●カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)

「クロアチアでリタイアした数日後に、ポルトガルの事前テストでふたたびクルマをドライブできたのは良かった」

「久しぶりのグラベル走行だったので、感覚を取り戻すのに少し時間がかかったが、クルマと新しいグラベルタイヤのフィーリングは全体的に良かったと思う」

「ポルトガルを訪れ、ふたたびグラベルラリーを戦うのがとても楽しみだよ。ラリー・ポルトガルは自分に合っているイベントだと思う。前回の2019年大会も楽しめたし、カテゴリー優勝をすることもできた」

「クロアチアの一件があるので今回は少し慎重なアプローチになるとは思うけど、できるだけ早くスピードに乗り、好成績を狙えるような戦いができることを期待している」

ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC) 2019年WRC第7戦ポルトガル

© 株式会社三栄