【インタビュー】衆院議員・谷川弥一氏「目標定め徹底実行を」 国境離島新法4年

「目標を定めて徹底的に実行を」と話す谷川氏=長崎市内

 自民党の離島振興特別委員会委員長として国境離島新法の成立に尽力した谷川弥一衆院議員(長崎3区)に現状分析と今後の施策について聞いた。

 -4年間で千人を超える雇用を創出した。
 1年に換算すると約250人。立法時は年間千人の新規雇用を想定していたので少ないと感じている。離島に企業誘致をするのであれば、1次産業の加工、観光業、IT(情報技術)関係が考えられる。各分野の雇用の目標数を定め、それを達成するため誰と交渉するか考え、徹底的に実行しなければならない。
 五島市は人口の社会増を(2年連続で)達成しており、法律が効いている面もあるが、県、市町、農協、漁協、商工団体はもっと人口を増やす方法を考えてほしい。課題があれば私が解決に動く。

 -具体的にどの分野に力を入れるのか。
 IT関係の人材を育成して企業を誘致してほしい。離島に職業訓練校をつくることはできないか。大学関係者と週1、2回会って具体的な方法を考えることはできないか。コロナ禍は(地方回帰が起きており)ある意味、離島にとっては絶好のチャンスだ。
 ただ悩ましいのは、ウイルスを島に持ち込む可能性があるので今は積極的に観光客を誘致できないことだ。2年前、日韓関係の悪化で対馬市の韓国人観光客が急減したときも、国内客らを呼び込む政府補正予算約2億1千万円を獲得したが、その後、感染が広がった。だがコロナ収束後を見据えて人材育成などの準備は怠ってはいけない。

 -どのような観光振興を思い描いているのか。
 観光客が求めるのは非日常体験。例えば五島弁の中から心が和む言葉を10個くらい選んで観光関係者が全員使うようにしてはどうだろう。五島の私の古里では近所の家を夜訪ねる時「こんばんは」ではなく、「おっとなあ」や「しもたなあ」と言う。観光客がそれを聞いて「何て言った?」と聞き返せば会話のきっかけになる。他にも五島の食材を料理にふんだんに使ったり、古き良き時代の催し物を開いたり、非日常体験で勝負すべきだ。

 -雇用機会拡充事業の新規採択件数が伸び悩んでいる。
 現在は島内企業が交付金を活用している面が大きいが、島外から企業を誘致して雇用を生み出さなければならない。さまざまな団体が法の良さを理解して、夢やロマンを持って楽しい古里にしようと知恵を出し合ってほしい。

© 株式会社長崎新聞社