コロナワクチン接種ミスはなぜ起こる? 見た目では分かりにくい〝筋肉注射のワナ〟

ワクチンが行き渡る日は…(ロイター)

ワクチン接種でのミスが相次いでいる。

奈良県五條市は19日、新型コロナウイルスワクチン接種で、使用済みの注射針を市民1人の腕に刺すミスがあったと発表した。医師が気が付いたという。

市によると、65歳以上を対象に市立西吉野コミュニティセンターで18日に実施した集団接種の会場で起きた。使用済みの針を刺された市民に、19日午前の時点で体調不良は生じていないという。太田好紀市長は「あってはならない事故。再発防止を徹底する」とのコメントを出した。

また香川県多度津町は19日、高齢者を対象にした新型コロナワクチン接種で、前の人に使ったワクチンの入っていない注射器を60代男性に刺す事故があったと発表した。集団接種終了後、注射器が1本余ったため調査したところ、押した感覚がなく違和感を抱いていた医師が申し出た。町によると、医師が使用済みの注射器を捨てず、未使用の注射器と交ざったことが原因。町は男性に謝罪し、後日改めてワクチン接種と感染症の検査を受けてもらうことにした。

ほかにも神戸市では、18日に同市北区の高齢者向けワクチン集団接種会場で、医師がワクチンを入れていない空の注射器を70代女性に刺すミスがあった。福岡県北九州市では、16日に行われた集団接種で75歳以上の女性に誤って2回接種するミスがあったと発表。沖縄県浦添市では15日、集団接種の会場で高齢者5人に誤ってワクチンの入っていない生理食塩水を注射するなど、ミスが相次いでいる。

ある医療従事者は「使用済みの注射針を誤って使ってしまったのは問題。別の人の体液や血液が他の人に刺入されると、感染症があった場合にはうつる可能性も。ワクチンは筋肉注射で針に血が付きにくく、見た目では使用済みかどうか判断しにくいが、注射針は使用後は専用のゴミ箱に入れるので、なぜそのようなミスが…」と指摘した。

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