IOCが東京を裁判所に訴えれば〝五輪消滅〟も 米メディアが中止賠償金問題で分析

東京五輪反対の声が高まっている

新型コロナウイルス感染拡大で東京五輪開催反対の声が高まるなか、東京が中止を申し出た際に科せられる可能性がある損害賠償金問題に注目が集まっている。米メディアは、国際オリンピック委員会(IOC)が東京に対し訴訟を起こす可能性に触れる一方で、最終的には絶対に東京を訴えられない理由を指摘した。

19日、米ヤフーは「誰が東京五輪を中止にできるか」という記事を掲載。契約を終わらせる権限がない東京が中止を言い出した場合、背負わされる可能性がある賠償金総額について触れている。経済学者で五輪専門家であるアンドリュー・ジンバリスト氏は「理論的にはIOCはテレビ放映権料とスポンサー契約料から保険適用額を差し引いた訴訟を起こす可能性があり、おそらく約40億ドル(約4365億円)から50億ドル(5456億円)に達する」と説明。IOCが賠償金請求の訴訟を起こす場合は、スイスの国際スポーツ仲裁裁判所(CAS)に送られるという。

一方で、匿名の英国の弁護士は「人々が法廷に駆けつけるとは想像できない。たくさんの交渉が行われると思う」と法廷闘争には持ち込まれないと予想。記事では理由として保険で損失が軽減されることに加え「パンデミック禍で開催国を訴えれば悲惨なイメージを世間に与える。そして将来の五輪ホスト候補を思いとどまらせることになる」と指摘。「IOCの一方的な開催都市契約を嫌がり、五輪開催希望都市はすでにパンデミック前からなくなっている。加えて今回、IOCが東京を訴えれば、将来の開催国に『恐ろしいメッセージ』を与えることになる」と言及した。

たしかに〝ぼったくり男爵〟として一躍有名になったトーマス・バッハ会長らIOCのイメージは日本のみならず世界でも失墜。手を挙げる開催都市がなければ、五輪消滅の危機となるだけに、さすがの貴族軍団も強気に出られないというわけ。これまでIOCの言いなりになってきた東京の出方に、海外も注目していると言えそうだ

© 株式会社東京スポーツ新聞社