避難所の状況配信システム運用開始 災害時の「密」回避へ 全市町に連携呼び掛け

協定書を手にする多田県危機管理監(右)と河野社長=県庁

 新型コロナウイルス禍の災害時の避難所における「密」を回避するため、長崎県は各市町と連携し、避難所の混雑状況などをインターネット上でリアルタイムに把握できるシステムの運用を始める。長崎市など5市町は既に導入しており今後、全県的に広げ県民の円滑な避難につなげたい考えだ。
 同システムは、デジタル技術を活用して施設の空席、混雑状況をネット上に配信するサービスを手掛ける東京の「バカン」(河野剛進社長)が開発。県が同社と協定を結び、システムは無償提供される。
 各避難所の職員が情報を入力し、サイトの地図に避難所の位置や混み具合が表示され、随時更新される仕組み。自治体ホームページのリンクや広報紙に掲載したQRコードなどからサイトにアクセスできるようにする。
 県内では長崎、大村、壱岐、西彼長与、時津の5市町が既に同社と協定を結んでおり、県単位では全国4例目。今回の締結により、導入を希望する他の自治体も活用できるようになり、県は全市町に参加を呼び掛けている。システムに避難施設を登録し終わった市町から順次、運用が開始される見通し。
 新型コロナの感染防止対策のため、避難所の一カ所当たりの収容人数が制限されている。県によると、昨年9月に大型で強い台風10号が本県を襲った際、県内では過去最多となる742カ所の避難所が開設され、このうち139カ所で満員となった。
 締結式は19日、テレビ会議であり、多田浩之県危機管理監は「各避難所のさまざまな情報が確認でき、住民の円滑な避難に資することになり大変心強い」と感謝を述べた。

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