米の医学博士が五輪中止論「今はスポーツの成果を祝うべき時ではない」 世界のコロナ感染現状を憂慮

米国の医学専門家からも五輪開催に反対の声

またもや専門家から東京五輪開催にストップがかかった。

いまだ広がり続けるコロナ禍の中、各方面から五輪中止を求める声が上がっているが、今度は国際的人権団体「Doctors of the world USA」会長で、ジョージ・ワシントン大学で名誉教授を務めるロナルド・ウォルドマン医学博士が「オリンピックを中止させよう」と題した論説をWebベースの医療ニュースサービス「MEDPAGE TODAY」に寄稿した。

ウォルドマン博士は、インドにおけるパンデミックの悲惨な状況を踏まえつつ「日本ではワクチン接種率が3%に満たない。南米でもブラジルでの感染が再燃していることから感染者が増加しており、次はアフリカ大陸での感染が懸念される」と世界の現状を憂慮。

さらに東京五輪に出場する選手に向けては、国際オリンピック委員会(IOC)がワクチンを提供することになっているものの、接種の義務化はしていないことから「なぜ大会主催者はこのリスク軽減のための措置をとらないのか」と、任意接種であることについて疑問を投げかけた。

最後には五輪を目指すアスリートに対し「申し訳なく思っている」と前置きをした上で「多くの人にとって、今はスポーツの成果を祝うべき時ではない。今夏のオリンピックは、世界の団結と連帯のシンボルになるどころか、継続的な苦しみと理不尽な不公平感に光を当てることになる。オリンピックは中止しましょう」と結んだ。

多くの医療専門家が危機感を抱き、開催中止を訴える中でも、このまま五輪は強行されてしまうのか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社