【夏場所】照ノ富士連覇に待ったかけた遠藤 V争い加わるも「まだピンと来ていない」

千秋楽の結果次第では優勝決定戦出場もある遠藤

目の前で優勝を許すわけにはいかない。大相撲夏場所14日目(22日、東京・両国国技館)、幕内遠藤(30=追手風)が大関照ノ富士(29=伊勢ヶ浜)を撃破。11勝目を挙げて大関の連覇を阻止した。

「自分から攻めないとダメ」と振り返るように、立ち合いから鋭く攻め込んだ。土俵際で相手の小手投げに傾くも下手投げで返した。行司軍配は相手に上がったが、物言いがつき、約3分30秒の協議の結果、照ノ富士のヒジが先に落ちており、行司差し違えで白星を手にした。

思わず表情を崩した。取組後は「よかった、よかったと思っただけです」と説明したが、会心の勝利だったに違いない。

直近の2ケタ白星は2019年名古屋場所だが、11勝以上は16年秋場所(13勝2敗)以来。春場所は場所前の稽古で痛めた左ふくらはぎの状態が悪化して10日目に無念の途中休場となったが、今場所は初日から白星発進すると、順調に星を積み上げ、2大関に土をつけるなど存在感を発揮している。

身近に原動力がある。同部屋の三段目・大翔龍(31)が今場所限りで引退を決意。遠藤は13日目に大関貴景勝(24=常盤山)を破り「どうしても勝ちたかった。分かる人には分かると思う」と、〝意味深コメント〟を残した。付け人でもある1歳上の兄弟子は大きな存在だっただけに、納得の成績で花を添えるつもりで土俵に立っているわけだ。

千秋楽は大関正代(29=時津風)戦が組まれた。逆転Vへ照ノ富士を1差で追う立場も「まだピンと来ていない」と本人はあくまで控えめ。「最後だから特別とかではなく、引き続き集中してやるだけ」と無欲を貫く。

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