17歳のザウバー育成プルシェールが初優勝。佐藤万璃音は意地を見せ14位【FIA-F2第2戦モナコ レース3】

 現地時間5月22日(土)、2021年FIA-F2第2戦モナコのフィーチャーレース(決勝レース3)が開催され、17歳でザウバー育成のテオ・プルシェール(ARTグランプリ)がポール・トゥ・ウインで初優勝。日本の佐藤万璃音(トライデント)は14位だった。

 スターティンググリッドは予選リザルトがそのまま反映され、ポールポジションはプルシェール、隣の2番手はロバート・シュワルツマン(プレマ・レーシング)、セカンドロウはレース2で3位だったオスカー・ピアストリ(プレマ・レーシング)が3番手、そしてレース2で優勝したダニエル・ティクトゥム(カーリン)が4番手。佐藤万璃音は18番グリッドからのスタートとなった。

 朝方は雨が降り注いだモンテカルロ。レース前の空は雲に覆われるも気温は17.8度、路面温度27.1度の完全なドライコンディション。レース周回数は42周で、ソフトとスーパーソフトタイヤの使用が義務付けられている。そして現地時間17時15分、この週末でもっとも得点を稼げるフィーチャーレースがスタートする。

 プルシェールがシュワルツマンをうまく抑え込んで首位をキープ。後方では数台がターン1のサン・デボーテ内側を通過するも接触はなし。なお21番手スタートのジャック・エイトケン(HWAレースラボ)がエンジンストールし発進できずにピットへマシンを戻され、後に周回遅れでレースへ復帰している。

 プルシェールとシュワルツマンのペースがよく、5周目には3番手のピアストリと4秒の差をつけ一騎打ちの様相を呈していく。しかしスーパーソフトタイヤでスタートした数台のマシンがタイヤ交換を行った8周目付近まで大きな順位変動はなかった。

 上位5台のタイム差が1秒台に入ったのは13周目あたりから。この5台が唯一の1分23秒台で走行し、中でも5番手のユーリ・ビップス(ハイテックGP)が他車よりも0.4秒以上速いペースで差を詰め、ローズヘアピンでは5台が一画面上に収まるギャップとなる。

 18周目、ヌーベルシケインの進入で20番手を走行していたユアン・ダルバラ(カーリン)がジャンルカ・ペテコフ(カンポス・レーシング)にウォールと挟まれるように接触しフロント周りを破損。ダルバラはそのままエスケープにマシンを進めリタイアとなり、ペテコフには10秒加算ペナルティが下された。

 上位勢の中で接近戦が起きたのは24周目の中盤から。4番手のティクトゥムが前をいくピアストリに0.615秒差と迫りホームストレートでテール・トゥ・ノーズに。しかしピアストリもインを抑えて順位をキープする。

 ソフトタイヤでスタートしたトップ5の中でまずピットインしたのは追い抜きが叶わなかったティクトゥム。27周目にスーパーソフトへ交換し暫定6番手でコースへ復帰。次の周にはピアストリがタイヤを交換、ティクトゥムの前でコースに戻り、その差は6.3秒となった。

 30周目にはシュワルツマンとビップスが同時にピットイン。ここでシュワルツマンは左リヤタイヤ交換に時間を要し、コースに戻ったときにはティクトゥムの後塵を拝してしまった。

 31周目にはトップを走るプルシェールもタイヤを交換し暫定2番手でコースへ復帰。まだタイヤを交換していない10番手スタートだった周冠宇(ユニ・ヴィルトゥオーシ)が先頭となった直後、マーカス・アームストロング(ダムス)がビップスとサイドバイサイドでラスカスを抜けた矢先に接触。アームストロングはマシンを破損しコース上にストップしたためバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。

 33周目にVSCが解除されるも、今度はリリム・ツェンデリ(MPモータースポーツ)がラスカスで止まりきれずにウォールへ突っ込んでしまい、間髪入れずにVSCが導入。34周目にようやくレースは再開することに。

 ここで3番手争いが加熱する。プールサイドシケインの進入でブレーキをロックさせたピアストリに4番手のティクトゥムが仕掛けシケイン先のストレートでサイドバイサイドに持ち込みラスカスへ突入。ピアストリがインを死守してコーナーを曲がっていくがアウト側のティクトゥムが曲がりきれずにマシンをストップ。マシン除去のために三たびVSCが導入され、1分前後でレースはリスタートした。

 暫定首位の周はソフトタイヤで37周を走りようやくピットイン。これでプルシェールがトップに返り咲き、以下ピアストリ、9番グリッドからスタートしたフェリペ・ドルゴヴィッチ(ユニ・ヴィルトゥオーシ)、シュワルツマンというオーダーとなる。

 このまま順位は変わらずプルシェールがポール・トゥ・ウインで初優勝し、F2最年少優勝を決めている。ピアストリが2戦連続の表彰台となる2位、3位にはドルゴヴィッチが入った。

 佐藤は最終的に4つ順位を上げ14位でフィニッシュ。なお40周目にファステストラップと0.030秒差の1分21秒949という全体2位のタイムを記録している。

 ポイントランキングは周が68ポイントで首位。ピアストリが52ポイントで2番手、優勝したプルシェールが47ポイントの3番手となっている。

 次戦アゼルバイジャンは日本時間6月4日(金)〜6月6日(日)に行われる。

■FIA-F2第2戦モナコ フィーチャーレース(決勝レース3) 暫定リザルト

Pos. No. Driver Team Time/Gap

1 10 T.プルシェール ARTグランプリ 42Laps

2 2 O.ピアストリ プレマ・レーシング 2.894

3 4 F.ドルゴヴィッチ ユニ・ヴィルトゥオーシ 14.261

4 1 R.シュワルツマン プレマ・レーシング 17.910

5 3 周冠宇 ユニ・ヴィルトゥオーシ 24.130

6 21 R.ボシュング カンポス・レーシング 30.693

7 7 L.ローソン ハイテックGP 31.288

8 8 J.ビップス ハイテックGP 37.051

9 16 R.ニッサニー ダムス 46.563

10 11 R.フェルシュフォー MPモータースポーツ 49.513

11 24 B.ビシュカール トライデント 51.380

12 9 C.ルンガー ARTグランプリ 52.966

13 14 D.ベックマン チャロウズ・レーシング・システム 55.834

14 25 佐藤万璃音 トライデント 1’11.237

15 15 G.サマイア チャロウズ・レーシング・システム 1Lap

16 20 G.ペテコフ カンポス・レーシング 1Lap

17 23 A.デレッダ HWAレースラボ 1Lap

18 22 J.エイトケン HWAレースラボ 2Laps

— 5 D.ティクトゥム カーリン DNF

— 12 L.ツェンデリ MPモータースポーツ DNF

— 17 M.アームストロング ダムス DNF

— 6 J.ダルバラ カーリン DNF

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