ニシキヘビ17日間逃走…行政にスルーされ続けた専門家の「屋根裏潜伏説」

アパート屋根裏の鉄骨に絡まっていたアニメニシキヘビ(Kenny茨城・提供写真)

横浜市戸塚区のアパートから体長約3・5メートルのアミメニシキヘビが逃げ出した騒動が17日目でようやく解決した。22日に専門家らが屋根裏に潜んでいたところを発見・捕獲した。第一発見者の専門家は騒動発生直後から「屋根裏潜伏」を訴えていたが、行政にはスルーされていたというのだ。

6日にヘビが行方不明となって以来、警察、消防、市役所から多い時には1日200人近い態勢で捜索に当たっていたが、手掛かりのないまま21日に打ち切られた。捜索に携わっていた日本爬虫類両生類協会の白輪剛史理事長は、気温やヘビの習性から遠くに逃げていないと力説していたが、まさに〝灯台下暗し〟の結末だった。

白輪氏をサポートし、発見・捕獲に尽力したのが、茨城・高萩市で爬虫類ショップ「Kenny茨城」を経営し、日本爬虫類両生類協会の会員でもある田中氏だ。

「木の上に住んでいるヘビで、習性的に絶対に下に行かない。数日様子を見ていたが、警察犬まで出していて、『地面ばっかり見ていないで上を見てくれ』と戸塚警察署に連絡したが、あまり話を聞いてくれなかった」と田中氏は話す。

14日に現場へ訪れた際はアパートの軒天に剥がれ落ちている箇所を発見した。田中氏は塗装業を営んでおり、建築のプロでもある。屋根裏の潜伏を確信し、現場にいた警察官や市職員に異常を報告したものの、またも取り合ってもらえず。「あまりに胸につっかえていた」とSNSに書き込んだところ、白輪氏が反応。意見交換を重ね、屋根裏潜伏説が補強されたワケだ。

屋根裏の捜索には天井や壁を壊す事態も想定され、管理会社や大家の許可がなかなか降りなかった。ようやくGOサインが出た22日の捜索で、田中氏が風呂場の点検口から屋根裏を覗き込んだところ、すぐさまヘビが鉄骨の梁に絡まっているのを発見。壁を壊したり、修繕費用がかかるようなこともなかった。

田中氏は「ビンゴでしたので、こんにちはという感じでした。最初から(屋根裏に)入れてくれれば、すぐに見つかったのでは。(行政の捜索も)お金がかかっていたし、餅は餅屋に任せてくれていればという気持ち」とあまりに長過ぎたヘビ脱走騒動を振り返った。

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