【薬剤師によるコロナワクチン接種】厚労省紀平薬剤管理官、「接種後に起こる事象への対処も課題」

【2021.05.23配信】保険薬局経営者連合会(薬経連)は5月23日、「薬経連第11回スプリングフォーラム」を開催し、シンポジウムに臨んだ厚労省保険局医療課薬剤管理官の紀平哲也氏は薬剤師によるコロナワクチン接種の問題に関して意見を求められ、「接種後に起こる事象に対する対処も課題だと思う」と述べた。

保険薬局経営者連合会(薬経連)は5月23日、「薬経連第11回スプリングフォーラム」を開催した。

シンポジウムには厚生労働省保険局医療課薬剤管理官の紀平哲也氏が参加した。

このシンポジウムの中で、薬剤師によるコロナワクチン接種の問題に関して意見を求められると、「接種後に起こる事象に対する対処も課題だと思う」と述べた。

紀平氏は、ワクチン も医薬品の一種であることから、「ワクチンにはどういうものがあるのかなど、(薬剤師は)知っておいて然るべき」との考えを示した。
その上で、薬剤師によるコロナワクチン接種においては、「ベースとしてワクチンについてどれぐらい知っているのかという見方が1つあると思う」と指摘。「最近では皮下注から筋肉注射に変更になってきているワクチンなどもあるが、過去にどういったことがあったのか、専門家として知っておいていただきたい」(紀平氏)とした。

実際の接種に関しては、「接種後に起こる事象に対する対処も課題だと思う」と述べた。
「歯科医師の場合は、麻酔などの業務を通して、接種後の対処などについても習得している。薬剤師は6年制課程の人は一定の勉強をしているが、4年制卒の人がどの程度の知識があるかという問題も出てくると思う。議論となることに備えて、やろうと言われたからやるのではなく、できるところから知識を身につけておくことも必要ではないか」(紀平氏)とした。

薬剤師によるコロナワクチン接種に関しては、同会会長の山村真一氏が開会の挨拶で「夢の背中が見えた」とする一方、準備していくことの重要性を指摘していた。
その後の記者会見で山村会長は、薬剤師によるコロナワクチン接種について「10年よりは手前にくるのではないか」との感触を吐露。
中長期的な準備の必要性として、コロナワクチンは毎年接種となる可能性も指摘されており、医療機関の負担を軽減するために薬剤師が貢献することが求められる可能性があることや、医療体制逼迫を避けるためにも医師には診断と治療に専念できる環境に協力する必要性が出てくることなどを挙げた。「調剤依存からの脱却が求められている薬局の経営的な視点も無視できない」とも語った。

紀平氏「薬局薬剤師のこれからの役割は調剤の延長線上ではなく考え直すべき」

また、紀平薬剤管理官は、シンポジウムの前に行った講演の中で、薬局薬剤師の役割について、「医薬分業の進展の中で調剤を中心としてきたとするならば、その延長線上にはなく、地域包括ケアでの役割を考え直さなければいけないと考えている」との見方を示した。背景には高齢者が増える中で医療自体が「治す」から「生活を支える」側面が強くなっていることを挙げた。

OTC医薬品の薬局での取り扱いについても問題意識を示し、「例えばドラッグストアのようにOTC医薬品を販売してくださいということではなく、医療提供施設のツールの一つとしてOTC医薬品を活用しなくていいのかということだと思う」と指摘。「法律にも認められているその権利を行使しないのであれば、他の人にその権利を渡しても仕方がないと言われる状況になっていないかと懸念している」とした。

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