原巨人 交流戦前に実松コーチを急きょ一軍昇格 キーワードは「誤算」と「アレルギー」

「打倒パ・リーグ」の切り札として期待がかかる巨人・実松バッテリーコーチ

テコ入れは奏功するか――。巨人はペナントレース序盤を23勝16敗7分けのリーグ2位で終えた。25日に開幕する2年ぶりの交流戦へ、原辰徳監督(62)は首脳陣の配置転換に踏み切り、実松一成バッテリーコーチ(40)を二軍から一軍に抜てきする。シーズン途中の人事異動の背景に何があるのか。浮き彫りとなったキーワードは「誤算」と「アレルギー」だ。

交流戦前最後の一戦となった23日の中日戦(バンテリン)は1―4で敗戦。3カード連続で勝ち越しがなく、まさに一進一退の戦いが続く中、開幕から46試合の戦いぶりへの評価を求められた原監督は「まだ総評する段階ではないよね」と語るにとどめた。

昨季は新型コロナ禍の影響で開催が見送られた交流戦。パ・リーグとの対戦を前に、指揮官はシーズン途中でコーチの入れ替えを決断した。シャッフルされるのはバッテリー部門で、二軍の実松コーチを一軍に、一軍の相川コーチは三軍、三軍の加藤健コーチは二軍となる。また、三軍の三沢投手コーチも二軍に異動する。

このタイミングで動いたのは交流戦が〝鬼門〟と受け止められているためだ。前回2019年は11勝7敗だったが、勝ち越したのは16勝8敗で優勝した14年以来。その間は18年=8勝10敗、17年=6勝12敗、16年=9勝9敗、15年=7勝11敗と苦戦続きで、シーズン中盤にブレーキがかかる要因にもなってきた。

また、ディフェンスの強化に着手したのは、攻撃面での誤算も影響している。巨人は交流戦と日本シリーズを勝ち抜くべく、昨オフにメジャーでも活躍したスモーク、テームズの大砲コンビを獲得。しかし、テームズは右アキレス腱断裂の重傷を負い、長期離脱が確実だ。加えて攻守の要で主将の坂本も右手親指の骨折で戦列を離れている。当初の構想より得点力ダウンとなるため、より失点を減らすべく、バッテリー部門にメスを入れた。

そうした中で白羽の矢が立ったのが実松コーチで現役、指導者として日本ハムに計10年間在籍。原監督や球団フロントはパ・リーグに対する知識や経験、さらには現在の二軍で発揮してきた分析力の高さを評価し、新たな頭脳として一軍抜てきした。

交流戦などで根づいてしまったチーム内の〝アレルギー〟は決して軽くない。かねて球団関係者の間からも「パ・リーグ相手の交流戦で星を落としてしまって、なかなか後半戦に勢いをつなげられないことが多かった。何とか対策を立てないといけない」と危惧する声が相次いでいた。

日本シリーズではソフトバンクに2年連続で屈辱の4タテを食らい、19年の交流戦から数えれば9連敗中(オープン戦を除く)。その王者とは28日から敵地ペイペイドームで対戦する。実松コーチの登用が「打倒・パ」と7年ぶりの交流戦V、さらには日本一奪回の一助となるか。

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