毎月400円だけで年金を増やせるお得な付加年金制度とは?フリーランスや自営業の老後対策

喫茶店での珈琲は、リラックスしますね。私は、ほぼ毎日喫茶店で珈琲を飲んでいます。なぜかというと喫茶店で仕事をしているので、珈琲は欠かせません。喫茶店の珈琲は1杯約400円ぐらいです。

じつは、このたった1杯分のお金を年金の積み立てに回すことで、将来得をする方法があります。

毎月400円を40年積み立てると総額19万2,000円。それが将来384万円にもなって戻ってくるという話です。積立が20倍に戻ってくるなんて「危ない投資話ではないか?」と思ってしまいますね。大丈夫です。れっきとした国の制度の利用です。

これが「付加年金」という制度です。今回は、このお得な制度について解説しましょう。


「付加年金」の対象者は第1号被保険者

「付加年金」は、第1号被保険者の年金を少し増やす制度です。ですので、対象者は、自営業やフリーランスなどの第1号被保険者に限られます。第2号被保険者の会社員や公務員、第3号被保険者の専業主婦は対象外です。

もともと第1号被保険者は、会社員のような厚生年金がなく、国民年金だけですので、年金の受給額が少ないのです。ですから自営業の人やフリーランスの人は、何とか年金を増やすことを考えた方が良いのです。

この付加年金は、2年で元が取れるという驚くほどお得な制度なのです。

付加年金のしくみとは

まずは、「付加年金」のしくみです。

付加年金は、国民年金の保険料の上乗せで毎月400円納付します。年金を受け取る時には、付加年金の年額は、「200円×付加年金の納付月数」で計算します。

ちょっとピンときませんね。例をだして説明をします。

10年間(120ヵ月)、付加年金に加入した場合です。支払った保険料は、4万8,000円(月額400円×12ヵ月×10年=4万8,000円)

では、受け取れる付加年金額は、年額2万4,000円です。(200円×120ヵ月〈納付月数〉=2万4,000円)

65歳で年金を受け取ったとしたら、基礎年金プラス2万4,000円の額を受けることになります。このプラスされた金額(2万4,000円)は一生涯受け取ることができるのです。

と言うことは、受取り始めて2年目には、4万8,000円になります(2万4,000円+2万4,000円=4万8,000円)。すでに支払った金額と同じになりますね。つまり2年で元が取れる制度なのです。それ以降は、ずっとお得です。

付加年金を40年間納付した場合には

国民年金に上乗せなので40年間(納付月数480ヵ月)、400円の付加保険料を納付した場合を考えてみましょう。

40年間付加年金を納付した場合の受取金額は、年額9万6,000円です。(月額200円×480ヵ月=9万6,000円)

40年間の総支払総額は19万2,000円です。(月額400円×480ヵ月=19万2,000円)

1年目の受取総額は、9万6,000円(−9万6,000円)
2年目の受取総額は、19万2,000円(+−0 元が取れました)
10年目の受取総額は、96万円(+76万8,000円)
20年目の受取総額は、192万円(+172万8,000円)
40年目の受取総額は、384万円(+368万8,000円)

積立総額19万2,000円のお金が、40年間で368万8,000円増えて戻ってくることになります。

言い換えると、20歳から60歳までの40年間、毎月400円を積み立てると、65歳以降は毎月8,000円受け取れます。これが驚くほどお得とされる理由です。

繰下げ受給をすると増額される

さらに得な使い方は、基礎年金を繰下げ受給すると、付加年金の受取金額も同じように増額されるのです。

年金の繰下げ受給は、65歳以降に年金を受け取る場合、年8.4%増額される制度です。70歳まで繰下げ受給をすると42%の増額になります。

ですから、70歳まで繰り下げると9万6,000円が42%増額され、13万6,320円になります。この金額が一生涯受け取れることになります。また、付加年金の受け取り額は定額ですので、物価スライドには、影響しません。

付加年金だけでは、金額が少ないのがデメリット

付加年金のデメリットは、年金を受け取る前に死んでしまった場合、または、年金の受取から2年以内になくなった場合には、損になってしまいます。他付け加えると、とてもお得ではありますが、何と言っても金額が少ないことです。

国民年金を40年間納付した場合の基礎年金額は78万900円です(2021年度)。付加年金を合わせても、87万6,900円です。生活をするには全然足りない金額ですね。

ですから、第1号被保険者の場合は、iDeCoとか国民年金基金も併用して、老後資金を準備した方がいいでしょう。

ここで注意が必要なのは、国民年金金基金の掛金の中に付加年金は含まれています。ですので、国民年金基金を申し込むと付加年金は中止になります。

また、付加年金を納めている場合には、付加年金の保険料とiDeCoの拠出金の合計が限度額6万8,000円と決まっています。iDeCoの掛金は1,000円単位なので、付加年金と併用する場合にはiDeCoの掛金の限度額は6万7,000円になるので注意してください。

いずれにしても、付加年金が超々お得なのは変わりません。加入していない人は、市区町村の窓口に連絡をしてはいかがでしょうか。

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