阪神・佐藤輝明は交流戦も「変わらず打てる」 初代“首位打者”が着目するステップ幅

阪神・佐藤輝明【写真:宮脇広久】

2005年西武時代に交流戦打率4割をマークした石井義人氏が解説

25日から日本生命セ・パ交流戦がスタートする。注目は阪神の大物ルーキー・佐藤輝明内野手と、パ・リーグの力のある投手たちとの対戦だ。2005年に交流戦の初代“首位打者”となり、横浜、西武、巨人と両リーグで活躍した石井義人氏は「(佐藤輝は)変わらず打てると思う」と太鼓判。内角球への対応次第で本塁打の量産も期待できるという。

阪神はロッテ、西武、オリックスと交流戦を戦っていく。もし、対戦があるとすれば、ロッテ・佐々木朗や西武・平良、オリックス・山本らのストレートに対して、佐藤輝がどのように対応していくか、野球ファンの楽しみ、期待は広がる。

パ・リーグはスピードボールで真っ向勝負をしてくる投手が多い印象だ。約2か月とはいえ、慣れてきたセ・リーグ投手から、対戦のないパ・リーグ投手の対応に佐藤輝は苦しむのではないだろうか。だが、石井氏は横に首を振る。

「僕は逆に楽に打てるのではないかと思っています。佐藤選手はストレートに強いわけですから、真っ直ぐ勝負が多いとなれば、ボールは絞りやすくなると思います」

佐藤輝の打撃フォームにポイントがある。石井氏は大物ルーキーを初めて映像で見たとき「ステップが狭い。だから軸や目線のぶれがなく、ボールに対応できる打者」と感じたという。現役時代の自分自身がそうだったからだ。

「ステップが広くなればなるほど、目線はぶれてしまう。基本的に投手が投げてくる球は真っ直ぐか、変化球か、この2種類。そういう曲がる球に対しても、目線がぶれなければ、思い通り、ボールに入っていけます。目線がぶれれば、打ち損じる確率も高い」

佐藤輝は空振り三振が多いが、崩されたもの、打ち損じは少ない印象だ。石井氏も巧みなバットコントロールでヒットを量産してきた。確実性が高かったのも、そのステップ幅が関係していた。佐藤輝は加えて、パワーもある。

厳しい内角攻めが予想される、佐藤はどうすればいいか…

交流戦ではおそらく厳しい内角攻めが予想される。

「体に近いところを攻められて、最後は外の変化球で仕留めるという配球が増えてくると思います。(5月7日の敵地)DeNA戦で内角高めを攻められましたが、右翼場外まで運びましたよね。あそこを本塁打するわけですから、さらにそれよりも高い球、体に近いコースで攻めてきて、崩しにくる。それをしっかりと見逃せるかどうかだと思います」

その場合、佐藤輝は場外弾のように内角高めのボール球を思い切ってスイングしに行っていいのだろうか。

「いえ、見逃すのが一番いいと思います。ファウルを打ちにいけば、バッティングが崩れてしまう。崩してしまって、内角への対応が弱いとなってしまったら、執拗に攻められて、今度は外のボールが来たときに追いかけにいき、打てなくなくなります。そういう形にならないようにしないといけません」

石井氏は交流戦初年度だった2005年の西武時代、打率4割(110打数44安打)で阪神・金本、ヤクルト・青木を抑えて、交流戦の首位打者となった。西武の前には横浜(現DeNA)に在籍していたため、久しぶりにセ・リーグの投手と対戦できることが楽しみだったという。佐藤輝はパ・リーグとの対戦でどのような気持ちで挑めばいいのだろうか……。

「今まで通りでいいんじゃないでしょうか。何も変える必要はありません。スピードボールが増えてくれば、振り遅れないスイングをすればいい。ただすでにそれは持っているので、崩されないよう、しっかりと見極められれば、リーグが変わっても問題ないです」

○石井義人(いしい・よしひと)1978年7月12日生まれ、埼玉県出身。浦和学院(埼玉)では1年夏から甲子園に出場。1996年のドラフト4位で横浜(現DeNA)入り。02年に西武へ移籍。05年は規定打席に到達し、打率3割1分2厘、リーグ4位の成績。12年から巨人でプレーし、同年CS最終ステージでMVP。14年に現役引退。引退後は16年までルートインBCリーグ武蔵の打撃コーチ、17年から佐藤病院で選手兼監督。2019年は女子プロ野球の野手総合コーチとして活動。今年、学生野球資格回復した。

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【写真】石井氏がポイントに挙げた佐藤輝のステップ幅

石井氏がポイントに挙げた佐藤輝のステップ幅【写真:上野明洸、荒川祐史】 signature

(Full-Count編集部)

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