阪神・佐藤輝明はパの投手を打てるか? 鍵を握る傾向と意外な“ホットゾーン”

阪神・佐藤輝明【写真:上野明洸】

変化球での得点増減が多い一方でストレートはマイナスに

セ・リーグ球団とパ・リーグ球団が相まみえる「日本生命セ・パ交流戦」が25日に開幕する。新型コロナウイルスの感染拡大により、昨季は開催されず。2年ぶりの戦いが始まる。

今季の交流戦の注目ポイントと言えば、阪神の佐藤輝明内野手が挙がるだろう。ここまでリーグ3位タイの10本塁打を放っているゴールデンルーキーが、屈強なパ・リーグの投手たちにどう立ち向かうのか。リーグ戦のように打棒を発揮してチームに勝利をもたらすことができるだろうか。

そこで、ここでは、佐藤輝のここまでの打撃データを分析。交流戦における勝負のポイントとなりそうな点を探ってみたい。データはセイバーメトリクスの指標などでデータ分析を行う株式会社DELTAのデータを参照する。

今季はここまで155打数41安打の打率.265、10本塁打32打点の成績を残している佐藤輝。ただ、5月7日のDeNA戦から本塁打が出ておらず、直近3試合は1安打8三振とやや勢いに陰りが見られる。では、交流戦での鍵はどこになるだろうか。

まず、球種別の得点増減を見てみよう。佐藤輝の特徴は変化球における得点増減がプラスとなる反面、ストレートはマイナスになる。カーブの得点増減を示す「wCB」が4.5、スプリットの「wSF」が2.5、チェンジアップの「wCH」が1.1となる一方で、ストレートの「wFA」は-2.2となる。これを見ると、真っ直ぐに課題を残しているように映る。

阪神・佐藤輝明のコース別打率【画像提供:DELTA】

コース別ヒートマップを見ると高めに苦戦の色が見える

次にコース別のヒートマップを見てみよう。これを見ると、佐藤輝の打者としての特徴が明確に浮かび上がってくる。コース別打率を見ると、内外問わず、低めのゾーンは打率3割を超えており“ローボールヒッター”だということが分かる。真ん中のコースは高さも低め、ど真ん中、そして高めとアベレージを残しているが、総じて高めに苦戦している様子が見て取れる。

コース別のコンタクト率を見ても、コースが高めにいくにつれて、率が低下している。例外なのがインコースのボールゾーン。体に近い位置のコンタクト率は高く、内角の真ん中の高さは打率も高い。こう見ていくと、佐藤輝に対しての攻め方は、自然と見えてくる。

パ・リーグの先発投手といえば、オリックスの山本由伸投手や楽天の則本昂大投手、西武の高橋光成投手に代表されるように、150キロを超えるストレートを日常的に投じる投手が多い。この佐藤輝の特徴から考えると、速い真っ直ぐを高めのゾーンにどんどん投げ込み、勝負を仕掛けてくるのではなかろうか。これに、ドラ1ルーキーがどう対応するのか見ものだ。

ここまでのリーグ戦での活躍で、間違いなくパ・リーグ球団も佐藤輝に対して、最大限の警戒を払ってくるだろう。初めて“真剣勝負”の場でパ・リーグの投手たちと対峙するゴールデンルーキーは、どんな打撃を見せてくれるだろうか。(Full-Count編集部)

© 株式会社Creative2