【新型コロナ】神奈川・鎌倉市、海水浴場開設を今夏も断念へ 地元感情に配慮か

多くの海水浴客らでにぎわった2019年夏の海水浴場=鎌倉市内

 神奈川県鎌倉市が海水浴場の開設を昨夏に続いて今夏も見送る方針を固めたことが25日、分かった。市は近く発表するとみられる。

 複数の関係者によると、市側は関係者らに開設が困難であることを説明し、市の考えを伝え始めたという。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、開設時の混雑などに対する住民感情に配慮したとみられる。

 昨年は県内全25海水浴場が開設を断念する「異例の夏」となった。県が新型コロナ対策として、砂浜に目印を置いた上での間隔確保などの完全順守を求める開設基準を提示。事業者からは「実現不可能な内容」と反発の声も上がった。

 そうした経緯を踏まえ、県は今夏は基準をマスク飲食徹底などの現実的な内容に転換しており、県内の海水浴場の多くは開設に向けた準備を進めている。そうした中で、今回の判断が周辺自治体などにも影響を及ぼしそうだ。

 地元の鎌倉海浜組合連合会の増田元秀代表は「事実であれば従うほかなく、賛成も反対もする立場にない。だが2年連続で仕事を失うことは苦しく、市に営業補償を求めていく」と話した。昨年は県内の各自治体が歩調を合わせて、開設見送りを判断していた。

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