【東京五輪】テレワークでも感染…米の渡航中止勧告が示す「安心・安全」のハッタリ度

橋本聖子会長(ロイター)

東京五輪の開催にさらなる〝逆風〟だ。米国務省は、日本での新型コロナウイルス感染拡大を受け、渡航警戒レベルを最も厳しいレベル4に引き上げ、米国民に「渡航中止・退避」を勧告。米国オリンピック・パラリンピック委員会(USOPC)は五輪出場への影響はないとの声明を出したが、大きな波紋を呼んでいる。

まさかの事態に日本側は大慌て。丸川珠代五輪相(50)は「必要な場合の渡航は禁止されていない」と強調し、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長(56)も「大会への影響はないと思う」とすぐさま火消しに走った。しかし、医療専門家からは日本国内の安全性に疑問の声が上がる。

ナビタスクリニック理事長で感染症に詳しい久住英二医師は「緊急事態宣言が多くの大都市で出ている状態。それは海外から見ても『やばいな、行かない方がいいぞ』となりますよね」と米国の判断に理解を示した上で「オンライン診療を受けた方でも『ずっとテレワークだったけど感染してしまった』と話す人もいる。どこで感染しているのか分からない。テレワークの人ですらこういうことが起きているので、毎日出勤している人はいつ〝落とし穴〟に落ちてもおかしくない」と指摘した。

現在の日本を天気に例えるなら、まさに台風が猛威を振るっている状態だという。「大雨洪水警報が出ている中で外出するのかという話。非常に強い雨が降っていたり、台風が来ているときに外に出ているのとやっていることは同じ。目の前で雨がやんだから大丈夫だと思っても、川の上流でダムから放流された水が流れてくるかもしれない」と警鐘を鳴らした。

東京五輪の開幕まで残り2か月を切った。現状を見る限り「安心・安全な大会運営」は夢物語と言わざるを得ない。となれば、答えは一つしかないはずだが…。

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