【東京五輪】橋本聖子会長を悩ますアスリートの「ワクチン辞退問題」…先に打つことの罪悪感か

ワクチン接種が行われる味の素ナショナルトレーニングセンター

東京五輪への逆風がますます強まる中、新たに「ワクチン辞退問題」が浮上した。日本オリンピック委員会(JOC)は日本代表選手団及び一部関係者を対象に6月1日から東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで新型コロナウイルスのワクチン接種を開始することを発表したが、すでに複数の団体で接種の辞退者が続出していることが分かった。

ワクチンは国際オリンピック委員会(IOC)を通じて米薬品大手ファイザー社から無償提供されたもので、対象者は選手約600人に監督、コーチら関係者を含めた約1600人の見込み。JOCの籾井圭子常務理事は「最終的に接種するかしないかは本人の判断」としているが、本紙が取材したある競技団体では対象者の約半数が「接種しない」と拒否しているという。

同団体の関係者は「あまりの多さにビックリしている。拒否の理由までは(JOCに)求められていないので追及はしないが、恐らく国民より先に打つことの罪悪感ではないか」と話した。各競技団体は共通シートに接種を受ける人の名前を記入。辞退者の名前や理由はリストに載らず、競技団体から強く勧めることもできないという。

今月上旬に行われたテスト大会でも「高齢者の接種が終わっていないのに、受けていいものか…」と戸惑う選手は多く、アスリート間では「受けるか、受けないか」の葛藤があるようだ。籾井理事は「高齢者への接種体制に影響を及ぼさない」と何度も強調したが、現場の関係者からは「〝五輪優先〟の考え方が叩かれているので受けづらい」「むしろ義務化してもらった方がありがたい」との声が漏れる。中には体調面への影響を考慮して辞退している選手もいるようで、最終的にワクチンが大量に余ってしまうことも考えられる。

大会組織委員会の橋本聖子会長(56)は「多くの方が接種を受けてくだされば、安全安心な大会の実現に向けて大きな一助となる」と接種の重要性を力説。他国の選手団でも接種が進む中、開催国の日本はどうなるか。

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