ワクチン接種 回数、割合ともに九州最低水準 長崎県内加速図る 県庁とサンパーク吉井 大規模接種会場に

九州7県のワクチン接種回数と接種した65歳以上の割合

 新型コロナウイルスワクチン接種について、長崎県内全21市町は政府の求め通り7月末までに65歳以上を終える予定だ。ただ本県は1回目の接種回数、割合ともに九州7県で最も低水準にとどまっている。県は6月中旬から長崎、佐世保両市に大規模接種会場を設け、各市町を後押しして加速を図る。一方で、基礎疾患がある高齢者には、かかりつけ医による個別接種が望ましいという見方もある。
 県によると、大規模接種の会場は県庁とサンパーク吉井(佐世保市吉井町)の2カ所。1日当たり計1200人に接種し、7月末までに約2万5千人に2回ずつ済ませる計画。米モデルナ製ワクチンを使用する見込みだ。
 内閣官房によると、23日時点で本県は1回目の接種回数が1万9903回、65歳以上に占める割合は4.6%。市町別は公表されていないが、県担当者は「市町で差がある。人口の多い自治体が進んでいない」という。実際、接種割合が4割超の自治体もある。
 最も人口が多い長崎市は65歳以上(約14万1千人)のうち、24日までに施設入所者約1800人のほか、同日始まった個別接種を約1200人が受けた。接種割合は2%台にとどまる。

看護師(左)からワクチン接種を受ける高齢者=24日、長崎市内の医療機関

 接種数が増えない要因の一つは、かかりつけ医による個別接種を中心に進めているためだ。市の計画では、個別接種と集団接種の割合は3対1。人口10万人当たりの医療施設数(歯科診療所除く)が政令指定・中核市78市の中で一番多く、その強みを生かす狙いがある。
 あるワクチンの専門家は「基礎疾患を持つ高齢者は接種するタイミングが難しい場合がある。かかりつけ医に判断してもらうのが望ましい」とこれを評価する。
 市担当者は「安心につながる丁寧な取り組みが重要」と強調する一方、「早く接種をしたい方や医療機関にかかっていない元気な高齢者もいる」として集団接種も併用し迅速に進める必要性を認める。県の大規模接種については「選択肢が増える」と歓迎した。


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