新幹線長崎ルート 在来線維持に「JR関与を」  与党が方向性示す

 九州新幹線長崎ルートで未着工区間の新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)の整備を巡り、与党検討委員会は26日、東京都内で会合を開き、フル規格での整備に向けて▽並行在来線▽地方負担▽ルート▽地域振興の4点について検討の方向性を示した。並行在来線は「JR九州が関与することを基本に、鉄道として維持することが適当」との考え方で、利便性が落ち込まないようJR九州と国土交通省で交渉することを求める。
 4点の方向性は、検討委の上部組織に当たる与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームの細田博之座長が「フル規格整備にめどを付けるため」として提示。これを受け検討委が細部を議論した。
 地方負担は、フリーゲージトレイン(軌間可変電車)を導入できなかった経緯を踏まえ「佐賀県の負担軽減を図る」との立場を明確にした。具体策として、JRから国に支払われる線路使用料(貸付料)の徴収期間を30年から50年に延ばす案や、後に国から充当される交付税措置の比率を最大限引き上げる案が検討されており、今後具体的な数字を詰める。
 ルートについては、検討委は利便性を踏まえJR佐賀駅を通る案を「適当」とする立場だが、佐賀県は駅南側の佐賀空港や、駅北部の長崎自動車道沿いの経路を含めてゼロベースの議論を求めている。このため検討委は国交省に対し、3ルートの建設コストについて次回会合までに試算するよう指示した。
 地域振興は、佐賀駅周辺の開発や他のインフラ整備を検討する。会合後、山本幸三委員長は「われわれも最大限努力したい気持ちはあるが、地域振興で何をすればいいかは地元から具体的に挙げてもらいたい」と話した。

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