モナコで苦戦の角田は「一歩ずつ学習している。焦らずしっかり戦ってほしい」/ホンダF1山本MDインタビュー(2)

 2年ぶりに開催された伝統のモナコGP。今年のF1ドライバーのなかで唯一モナコ初走行となった角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)は予選16番手、決勝も16位と入賞には届かなかった。ホンダF1の山本雅史マネージングディレクターは角田について、F1の難しさを噛み締めているかもしれないが、それを乗り越えていくことができると信じていると語った。

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──2021年のF1日本GPのチケットが8月29日から一般販売開始する予定であることが発表されました。

山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):モビリティランドが8月29日から日本GPのチケットを販売するという内容を私も目にしまして、現場から言うと非常に嬉しいことです。まずは第一ステップというかファンに向けてひとつ大きなメッセージを届けてくれたなという思いで、これが一歩一歩実現に向けて近づいていってくれればいいなと思います。

──今後、鈴鹿に向けてどういう戦いをしていきますか?

山本MD:もちろんまだわかりませんが、昨年に比べれば(メルセデスと)拮抗している状況なのは間違いないので、一歩一歩パワーユニット(PU)をどう使っていくのかというマネージメントをレッドブルとバランスよくやっていければ、まだレッドブル・ホンダにも勝算があると思っています。今後も鈴鹿に向けて、しっかり戦っていきたいと思います。

──角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)選手はモナコGPでも苦しみました。

山本MD:彼がFIA-F2からF1に初めて乗ったときに言っていたように、F2からF1というのは、2クラスくらい間にあってもいいくらい、まったく違ったカテゴリーです。やっぱり、F1って、そんなに甘くはない。だから、技術的には前半はしっかり学んでほしいとだけ言っていますし、いまは一歩一歩学んでいる時間だと思います。学ぶ姿勢と謙虚さを持って、焦らずにしっかりと戦ってほしいです。

2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)

──角田選手のファンは、いま彼がものすごく落ち込んでいるのではないかと心配になってると思います。角田選手の雰囲気はどうですか。

山本MD:彼がどれくらいメディアをチェックしているのかわかりませんが、まあ実際、目には入ってしまうと思います。そこはF2のときとは違って、F1の難しさを彼も徐々に噛み締めているのかなと思います。でも、それは成功するためには通らなければならない道だし、それを乗り越えていくのもまた裕毅自身。乗り超えてほしいし、彼ならできると私は信じています。

──では、チームとの確執とか、ヘルムート・マルコからのプレッシャーはない?

山本MD:チームとの確執はないです。全然ない。大丈夫です。ただ、プロのレーシングドライバーなんだから、失敗したらお叱りを受けるのは当然で、それは仕方ないこと。でも、それで落ち込んでいるのではなく、やっぱり思ったようにレースができてないっていうのが一番。自分が思うようにクルマを100%操作できていないことにフラストレーションを感じているのだと思います。

──それは角田選手だけでなく、モナコGPでは多くのドライバーが予選で苦しみましたからね。

山本MD:初めてのモナコGPの予選で、Q1では(セバスチャン・)ベッテルと1000分の18秒しか変わらなかった。ベッテルはモナコを1000ラップ以上走っているのに対して、裕毅は数十ラップしか走っていません。そういう意味はで裕毅には間違いなく速さはあります。あとは経験を積むだけ。それは本人もわかっているのだろうけれど、レーシングドライバーなら、少しでも上位でレースをしたいと思ってしまう。それで自分自身に腹立たしく思ってるのかもしれません。それを克服するには実績を積み上げるしかないんです。まずはガスリーと対等に戦える状況にまでいってほしいと思っています。そして、大切なことは前のレースを引きずらないこと。レースごとに彼がリフレッシュできるようサポートしたいと思っています。

2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第5戦モナコGP 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダ)
2021年F1第5戦モナコGP ホンダF1 山本雅史マネージングディレクター

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