聖地でプロ1勝!〝令和の怪物〟佐々木朗希の育成プランどうなる

益田からウイニングボールを受け取った佐々木朗希

ロッテの佐々木朗希投手(19)が、27日の阪神戦(甲子園)に先発登板。プロ2試合目のマウンドは5回94球を投げ、7安打4失点、5奪三振。それでも味方打線が6回に逆転に成功し、セ・リーグ首位チームからうれしいプロ初勝利を手にした。高校時代には上がることができなかった甲子園のマウンドから大きな一歩を踏み出した〝令和の怪物〟は今後、どんな成長曲線を描いていくのか。期待は高まるばかりだ。

試合後のヒーローインタビューでは「うれしいです。はじめての甲子園だったので雰囲気を感じながら一生懸命投げようと思ってました。(甲子園は)楽しかったです」とはにかんだ。

大船渡(岩手)高校時代は、3年夏の岩手県大会決勝で敗れ「あと一歩で」とどかなかった聖地・甲子園のマウンド。4失点したものの、味方打線が6回に3点を奪い逆転に成功。これも持って生まれた強運なのか、勝ち投手の権利が転がり込んできた。

そんな佐々木朗を、今後チームはどのように起用していく方針なのか。16日のプロ初登板(対西武=ZOZOマリン)前まで首脳陣は佐々木朗を一軍戦力とは考えず、あくまで「どこまで一軍で投げられるのか」を確認する様子見感が拭いきれなかった。

だが、本人はそんな周囲の目を圧倒するかのようにデビュー戦で堂々5回を投げ切った。注目された球数も「85球前後」という制限があったにもかかわらず、予想を超える107球。しかも「制球重視」で150キロ以上の剛球を連発した。

当時、吉井投手コーチは「予定よりは10球ぐらい多くなったけど頑張ってくれた。(球数については)100球いかないぐらいかなと思っていたんだけど…」と佐々木朗の潜在能力の高さに改めて驚かされた様子だった。この予想外の成長がこの日の阪神戦での登板を実現させただけに、今後は戦力としての期待が高まるのは当然だろう。

それでも、球団は佐々木朗が一軍戦力としてのメドが立ったとはいえ、無理に先発ローテーションに組み込むことはしない。チームは現在首位ソフトバンクと1・5ゲーム差のリーグ3位という好位置にいる。先発投手陣も美馬、二木、石川らを筆頭に充実しているからだ。東京五輪で約1か月間リーグ戦が中止になる予定の7月中旬までは先発ローテの谷間や調子を落とした投手の代替として起用。一軍での実戦経験を積ませながら最終的にシーズン終盤のリーグ優勝、CS争いの切り札になれるよう期待を寄せている。

「ロッテの首脳陣はもともと、今季終盤頃までに佐々木朗が一軍で活躍できるような育成プランを立てていた。その育成プランが現時点では本人の予想以上の成長もあり、少し前倒しになった感がありますが、ここで無理をさせ故障でもしたらこれまでチーム一体で行ってきた育成プランが無駄になりかねない。そんなリスクを避けるためにも、今は本人の体調や状態が最優先。勝負どころのシーズン終盤でチームを助けてくれればいいと考えているはず」とはロッテOB。登板ごとに成長を遂げる佐々木朗とはいえチームは先の先を見据えている。

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