雇用調整助成金 支給1万9767件 長崎労働局「コロナ禍の影響は深刻」

雇用調整助成金 県内の月別支給件数

 長崎労働局は2020年度の県内の雇用安定等給付金支給決定状況をまとめた。新型コロナウイルス禍の影響で、雇用調整助成金(雇調金)の支給件数が1万9767件、金額は約153億921万円となり、前年度の53件、約2398万円から急増した。リーマン・ショックの影響があった09年度と比べても件数は9倍を超えており、労働局は「コロナ禍の影響は深刻」としている。
 雇調金は、景気悪化などで企業が従業員を一時的に休ませるなどして雇用維持を図る場合、休業手当などの一部を助成する制度。コロナ禍の特例として、日額上限が8370円から1万5千円に引き上げられ、助成率は中小企業3分の2、大企業2分の1から最大全額になった。判断指標の売上高減少幅なども緩和。雇用保険に加入していない従業員も対象になった。
 労働局によると、県内の支給件数は、ここ5年は多くても100件ほどで推移。ところが20年度はコロナ禍で急増。特例が設けられたほか、申請方法が簡素化されたことも申請の伸びにつながったとみている。
 月別では、昨年4月は8件だったが、緊急事態宣言を受け、5月に219件、7月には2774件に跳ね上がった。第2波が落ち着いた11月以降は減少傾向だったが、冬の第3波で再び増加した。
 主要産業別では、営業時間短縮要請を受けて休業に踏み切る事業者が多かった宿泊業・飲食サービス業が最も多く約4千件。製造業、卸売・小売業がそれぞれ約3千件で続いた。
 国は雇用保険財政が厳しくなったことを理由に、今年5月から日額上限を下げるなど特例を縮小し、特例期限を6月末としていた。ただ、政府には7月以降も特例を維持する方向で検討する動きもある。労働局は「今でも新規の申請があるなどニーズは高い。まずは労働局やハローワークに相談してほしい」としている。

 


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