平和式典2年連続縮小 長崎市、参列500人規模 精霊流しも自粛求める

 長崎市の田上富久市長は28日、「長崎原爆の日」(8月9日)に松山町の平和公園で開く平和祈念式典について、新型コロナウイルス感染防止のため、昨年同様、参列者を例年の1割程度の500人規模に縮小して開催する、と発表した。また、お盆の伝統行事「精霊流し」は、市は流し場を設置するものの、感染防止の観点から「今年は極力控えて」と自粛を求めた。
 市によると、平和祈念式典は、会場に約2メートル間隔で500席程度を用意。来賓や被爆者・遺族の代表者ら招待者のみ参列でき、一般参列はできない。長崎ブリックホール(茂里町)と長崎原爆資料館ホール(平野町)を屋内会場として設けるが、昨年同様座席を半減。感染防止対策では、時間差による入退場や会場スタッフ約500人の抗原検査を新たに導入する。
 2年連続の規模縮小に田上市長は「昨年は被爆75周年、今年は核兵器禁止条約が発効した年でもあり、非常に残念。与えられた条件の中で、平和の思いが伝わる式典にしたい」と述べた。
 一方、精霊流しについて市は、変異株の流行を念頭に、精霊船を極力控えるよう呼び掛けた。船を出す場合でも、少人数で船を造るほか、1、2人で担げる小さな船か、供え物などをわらで包んだ「こも」を採用するなど、密を避けることを徹底するよう求めた。
 また流し場は、例年より1時間早い午後5時に開設し、終了時間を午後9時に設定した。市廃棄物対策課は「今年は街中を練り歩かず、速やかに一番近い流し場に向かってほしい」としている。

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