密を避けて街歩き 「長崎まちなか陶磁器さるく」で小規模スタンプラリー

「焼き物のギャラリーをまちなかの回遊コースの一つにしてもらえれば」と語る佐藤さん=長崎市、ギャラリーショップCRANE

 新型コロナ禍で波佐見や有田などの大型陶器市が次々と中止になった5月。長崎市内の陶磁器店や焼き物ギャラリー5店が、ひそやかに「長崎まちなか陶磁器さるく」というスタンプラリーを開いている。イベントや外出の自粛が要請される社会情勢の中であっても、焼き物は店頭で直接手触りを確かめて選んでほしい-。そんな思いを共有する店主らが手をつないだ。
 発案は同市元船町のギャラリーショップCRANE(クレイン)。共同運営の一人で陶芸作家の佐藤恵さん(58)は「出店予定だった有田陶器市が開催直前の4月に中止決定。じゃあ、その代わりになる何かをやりたいと思い、急きょ長崎の焼き物関係の知り合いに声を掛けた」と語る。
 昔ながらの陶器店から陶芸作家の個人ギャラリーまで5店が参加、スタンプラリーの実施を決定。新型コロナが感染拡大している状況は気になったが、「密になるほどの客は来ない」という読みがあった。PRはインスタグラムのほか、ポスターとチラシを小規模に配布しただけだ。
 野口陶器店の野口昌美さん(59)は、客の中で焼き物店巡りに関心を持ってくれそうな人に、スタンプラリーの台紙を渡す。「『他のお店にも行ってみます』という若い人もいるし、この台紙を見てうちに来てくれる人もいる。そうして焼き物好きの輪が広がっていくのがうれしい」と語る。
 コロナ流行で多くの焼き物愛好家が「5月は陶器市に行く」という毎年の楽しみを失った。そのささやかな受け皿になっている今回の「さるく」。参加者はぽつぽつとやってくる程度だが好評で、十分に感染対策をした上で開催期間は6月末まで延長することになった。
 佐藤さんは「焼き物の質感や風合いを確かめながら街をゆったり歩く楽しみを改めて感じてほしい」と話している。

 ▼参加店リスト
 ▽うつわや洒舎(しゃしゃ、万屋町)=水曜定休▽野口陶器店(築町)=日曜定休▽ギャラリーショップCRANE(元船町)=土日月曜のみ営業▽CLAY WORK(クレイワーク、出島町)=水曜定休▽コーヒー&クレイワークス笠(東小島町)=土日曜のみ営業

「陶器を愛する人にひそやかに楽しんでほしい」と語る野口さん=長崎市、野口陶器店

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