長崎市時短開始 要請従い新型コロナ防止策徹底 夜間営業続ける店も

感染対策を取ってカラオケを楽しむ常連客。店は県の要請に従い、閉店時間を早めた=28日午後6時24分、長崎市銅座町の茜砂

 新型コロナウイルス感染拡大防止策として長崎県が市内の飲食店や遊興施設に要請した営業時間短縮の期間が28日、始まった。多くは感染対策を徹底しながら要請に従ったが、夜間営業を続けざるを得ない店も。波紋は飲食店だけにとどまらず、関連業種にも及んでいる。
 要請は5月11日までの14日間、酒類提供を午後7時まで、営業時間を同8時までとする。全期間実施を条件に、売上高に応じた協力金が支給される。
 銅座町の「茜砂(あずさ)」は定額料金でカラオケ歌い放題の店。要請を踏まえ、閉店時間を1時間早め午後7時にした。
 田上富久市長はクラスター(感染者集団)発生を理由に昼間のカラオケ利用も控えるよう求めた。午前11時から営業しているが、店主の熊谷ゆきみさん(64)は「ここは憩いの場。お客さんを守るのは義務」と感染防止策に胸を張る。マスク着用で歌うよう促し、1曲終わるごとにマイクを消毒。四つの窓を開放し換気を心掛ける。この日の夕方も十数人の常連客が気持ちよさそうに歌っていた。週1回通うという80代男性は「しっかり感染対策をしてくれるし、大きい声で歌って発散したい」と上機嫌だった。
 昼間も営業を始めたバーもある。鍛冶屋町の「Bar三浦」は1月下旬以降、夜間だけでなく、日中も全国の約20種の日本茶を楽しめるようにした。マスターの三浦雄一郎さん(43)は「こうなると予想し早めに対応していた。光熱費や店の家賃を支払うには、休業はできない」と要請に従い午後8時に閉店した。
 8時を過ぎても、鍛冶屋町の居酒屋は約20人の客でにぎわっていた。40代男性店主は「換気など感染対策はしっかり取っている。行政の施策に不満はないが、取引業者やアルバイトたちの生活も掛かっている」。時短要請期間中も午後11時まで営業を続けるという。
 時短の影響を受けるのは飲食店だけではない。市内のある運転代行業者は期間中休業する。代表の男性は「以前は一晩50件ほどあった運行が最近は1、2件しかなく、車を出しても赤字。歓楽街でクラスターも発生しているし、従業員を守るために休むと決めた」と話す。ただ休業中も車の保険料など毎月の固定費がのしかかる。「行政は何か補償を考えてもらわないと」と窮状を訴える。
 銅座町にある酒店は、居酒屋などからの受注が回復傾向だったが、周辺でクラスターが相次ぐと再び激減。店員の女性は「コロナが収束しないと同じことの繰り返し。いっそ人の動きを止めてほしい」と言葉に力を込めた。


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