「まだ続くのか」「仕方ない」 長崎市、営業時短1週間延長 飲食店我慢さらに

シャッターを下ろし、臨時休業した店舗などが並ぶ歓楽街=28日午後6時5分、長崎市本石灰町

 長崎市内における県独自の緊急事態宣言が継続となり、飲食店の営業時間短縮や市民の外出自粛の要請も1週間延長される。市や医療関係者はこれを評価するが、さらに我慢を強いられる店からは「まだ続くのか」「仕方ない」と複雑な声が聞かれた。影響を受けた関連事業者は新たな給付金を歓迎。一方、県民対象の県内旅行割引キャンペーン再開時期は見通せず、宿泊事業者は落胆を隠せなかった。
 「今月いっぱいの我慢と思っていたのに」。油屋町のレストラン「美食bar椿」代表の木下節子さんは残念がる。要請に従い酒の提供は午後7時まで。代わりに開店を同5時に前倒しし、ランチや流行のイタリアンスイーツ「マリトッツォ」も売り出した。とても減収分は補えないが「スタッフの生活のため。私もお客さんと会いたい」と営業を続ける。「(市中の)感染がしっかり収まるまで、もうしばらくの辛抱ね」と自らを奮い立たせた。
 文教町の居酒屋「じげもんDining海あじ」は当初、時短営業していたが、第3波以上に客足が遠のき、1回目の要請延長を機に休業。6月1日に予約が入っていただけに、店主の古賀順臣さんは「『やっとゆっくり飲める』と言ってくれたお客さんに申し訳ない」と肩を落とした。
 関連業種への給付金について、ある納入業者は「ありがたい」。一昨年に比べ取扱数が7~8割減少。廃業した取引先もあり、昨年の緊急事態宣言時より売り上げが落ち込んだ。ただ50%以上減収という要件を「厳しい」と受け止める。
 市は28日、主要観光施設や公民館、運動施設の休館を6月7日まで延長すると発表した。市主催イベントも一部を除き中止や延期、無観客を継続。市民には引き続き、県外往来や家族以外との会食、カラオケ利用を控えるよう呼び掛けた。田上富久市長は厳しい医療体制を理由に「心苦しいがあと1週間、感染防止のための行動を」と求めた。
 県医師会の森崎正幸会長は「高齢者がワクチンを打ち終え、集団免疫効果が出るまでメリハリをつけた感染対策が必要」と強調。長崎医療圏の病床利用率が依然高く「20~25%まで下げないと厳しい」と指摘した。
 県は28日、旅行割引の再開時期を示さなかった。南山手町のANAクラウンプラザホテル長崎グラバーヒルは、国の緊急事態宣言が続く都市圏からの利用者が激減し、稼働率は低調。館内飲食店も時短や休業で打撃を受けている。担当者は「県民宿泊割が早く再開し、少しでも旅行しやすい雰囲気が広がるのを期待したいが、まずは感染者抑制が大切。歯を食いしばってやっていく」と話した。

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