MotoGP第6戦イタリアGP:レコードブレイクのタイムでクアルタラロがポール獲得。中上はQ2進出ならず

 5月29日、MotoGP第6戦イタリアGPの予選がムジェロ・サーキットで行われ、MotoGPクラスはファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がポールポジションを獲得。中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)はQ2進出ならず、15番手だった。

 フリー走行3回目は気温21度、路面温度28度のドライコンディションで始まった。序盤、トップに立ったのはヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)。2番手にはミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が続く。KTMはこのイタリアGPに、新しいシャシーを持ち込み、初日にはオリベイラとブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が走らせている。このシャシーは、スペインGP後に行われたヘレステストで登場したものである。

 そのKTMのビンダーが、このセッション中に362.4km/hを記録した。ムジェロでの最高速は2019年にアンドレア・ドヴィツィオーゾがドゥカティで記録した356.7km/hで、これを5.7km/h上回った。ムジェロ・サーキットはメインストレートが長く、1km以上ある。2年ぶりの開催となったイタリアGPでは、フリー走行3回目でビンダーを含むKTM、ドゥカティ、アプリリアを駆る6人のライダーが2019年のドヴィツィオーゾの記録を更新するトップスピードを記録した。

 残り時間が20分になるころ、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が3番手タイムをマーク。その後、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が1番手に浮上。クアルタラロはさらにタイムを詰めてトップをキープする。

 残り時間3分を切って、フランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)が1分45秒456をマーク。これまでのオールタイム・ラップ・レコードを更新した。バニャイアはそのままフリー走行3回目をトップで終えている。

 2番手はクアルタラロ。3番手にはビンダーが続き、ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)は4番手で、5番手はザルコだった。マルク・マルケス(レプソル・ホンダ・チーム)は12番手、中上は15番手で、Q1から予選に挑むことになった。

 MotoGPクラスのフリー走行4回目前に行われた、Moto3クラスのQ2終盤、佐々木歩夢(Red Bull KTM Tech 3)、ジェイソン・デュパスキエ(CarXpert PruestelGP)、ジェレミー・アルコバ(Indonesian Racing Gresini Moto3)が9コーナーで大クラッシュを喫した。

 このアクシデントによりQ2は赤旗が提示されて終了。コース上でデュパスキエの救護が行われた。その後、MotoGPも公式SNSによれば、さらなる治療のためドクターヘリで病院へと搬送された。佐々木とアルコバは問題ないということだ。

 約30分遅れで始まったフリー走行4回目では、クアルタラロがトップタイム。2番手がバニャイア、3番手には中上が入った。4番手はリンス、5番手がオリベイラで、マルク・マルケスは17番手だった。

■予選でクアルタラロが圧巻のポールポジション獲得

 予選のQ1は気温25度、路面温度40度のドライコンディションで始まった。フリー走行3回目の終盤に転倒してタイムを更新できなかったマーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)や中上、マルク・マルケス、バレンティーノ・ロッシ(ペトロナス・ヤマハSRT)などがQ1から予選に挑んだ。

 前半のアタックでは、中上がトップ、エネア・バスティアニーニ(アビンティア・エスポンソラーマ)が2番手につける。後半のアタックに入ったが、ビニャーレスがマルク・マルケスの“後追い”を嫌って一度ピットロードを通過。マルク・マルケスもこれに続くなど、心理戦が繰り広げる。このためふたりのライダーはタイムを更新しないまま終盤に入ったが、残り1分を切ってマルク・マルケスがビニャーレスの背後でトップタイムをマークし、ビニャーレスが2番手タイムを記録した。

 その後、アレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング・チーム・グレシーニ)が2番手に浮上。ビニャーレスは最後のアタックの最終セクターでミスを犯してタイムを更新できず3番手に留まり、マルク・マルケス、そしてフランスGP後に腕上がりの手術を受けたアレイシ・エスパルガロがQ2進出を決めた。中上は5番手で、15番グリッドから決勝レースを迎えることになった。

 Q2では前半のアタックで、クアルタラロがトップタイムをマーク。2番手にはQ1を突破したアレイシ・エスパルガロ、3番手にはミラーがつける。クアルタラロは後半のアタックでもタイムを更新。1分45秒187を記録して、バニャイアがフリー走行3回目で記録したオールタイム・ラップ・レコードを更新した。

 最後のアタックではバニャイア、ザルコなどがタイムを縮めたが、クアルタラロのタイムを上回ることはできず、クアルタラロがポールポジションを獲得。バニャイアが2番手、ザルコが3番手に続いた。

 また、序盤に2番手につけたアレイシ・エスパルガロはフロントロウを逃したものの、4番手。予選の最上位タイのポジションを獲得している。5番手はミラーが続き、5番手にはビンダー、6番手にオリベイラと、この週末に速さを見せているKTM勢ふたりが入った。マルク・マルケスはQ2のセッションが後半に入ってからアタックを開始し、11番手で予選を終え、決勝レースを4列目から迎える。

2021年MotoGP第6戦イタリアGP ポールポジション:ファビオ・クアルタラロ、2番手:フランセスコ・バニャイア、3番手:ヨハン・ザルコ
2021年MotoGP第6戦イタリアGP ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)、ヨハン・ザルコ(プラマック・レーシング)
2021年MotoGP第6戦イタリアGP ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)

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