知らないと損!独立する子供の自動車保険を半分以下にする制度「等級引き継ぎ」

就職などで独り立ちした子供がいる世帯も多いことかと思います。今回は、独立する子供の自動車保険料をなるべく安くする方法について、我が家の実例を交えてお話しします。


見積もりした自動車保険料 年間8万円超えに愕然

自動車保険を契約する時に、「自動車の型式」や「使用目的」「運転者の年齢や範囲」、「年間の走行距離」、「等級」、「補償内容」など様々な情報を入力して保険料が算出されるのはご存じのことかと思います。テレビのCMで「保険料は走る分だけ」「40代・50代の保険料が割安な大人の自動車保険」などといったキャッチフレーズを耳にしますが、保険会社ごとに保険料は違うため比較するのは難しいものです。

この春、同居していた筆者の子供(24歳)が就職のため、転居することが決まりました。通勤に自家用車が必要になり、中古の軽自動車を購入するに伴い任意の自動車保険への加入を検討することになったのです。まず、自動車保険の一括見積もりをしたところ8万円〜10万円など保険料が高額なことに驚きました。というのも、筆者が加入している通販型の自動車保険は保険料が年間約3万円。高くても倍くらいかと考えていたからです。ちなみに筆者の契約条件は、子供も運転するため年齢区分は「21歳以上」、車両保険は付けていません。子供の保険料が高額になった理由を調べてみたところ、次の要素の影響が大きいのではないかと考えました。

・22年前の中古車
・年齢区分が「21歳以上」(保険料が高い区分であること)
・新規契約のため等級が「6等級」
・使用目的が「通勤」

すでに自動車は購入してしまいましたし、年齢区分も26歳になるまで変わりません。新卒の給料で年間8万円以上の保険料出費は懐が痛むので何とか安くできないかと思案することに。

親の「等級」を子どもにあげるという方法があった

自動車保険には「等級引き継ぎ」という制度があります。以前、筆者が生損保代理店に勤務していた時に耳にした記憶があったものの、当時は自分の業務に関係がなかったので恥ずかしながら制度の仕組みをよく理解していませんでした。

自動車保険の「等級制度」は1〜20等級の20段階に分かれいて「等級」が大きくなるほど、割引率がアップして保険料が割安になります。通常、子どもが免許を取得して、新規契約をすると6等級からスタートします。契約期間中に保険を使わなければ次の契約では等級が一つ上がり、保険料が割引されます。筆者の契約は、割引率が最大の「20等級」ですから「等級引き継ぎ」を利用することで子どもの保険料を下げることができるかもしれません。なお、等級引き継ぎを利用するには決められたルールをクリアする必要があります。「同居」が絶対条件になるので、例えば、子どもが転居してしまうと等級引き継ぎはできません。

実際にどのくらいお得になった?

子どもに等級引き継ぎを行うと、親は改めて新規契約をする必要があります。筆者のケースで、等級引き継ぎを行なう場合と行わない場合での保険料を比べてみました。

契約条件:
親(55歳):軽自動車(モコ)、21歳以上補償
子ども:軽自動車(パジェロミニ)、21歳以上補償

1. 等級引き継ぎを行わないケース
子どもが新規で保険に加入した場合の保険料です。

2. 等級引き継ぎを行うケース
子どもが親の等級を引き継ぎ、親が新規で保険に加入した場合の保険料です。親の保険は2台目のセカンドカー割引適用のため7等級で算出しています。

※実際には、保険期間の途中で等級引き継ぎを行なったため残りの保険期間に対する差額分を納めたため、1年間の保険料は保険会社に確認しての見込み額となります。

合計の保険料を比較すると、親の等級を子どもが引き継ぐ方が約3万7,000円安くなることが分かります。

なお、等級引き継ぎを行う手続きは簡単です。

等級引き継ぎを行う手続き

1.親の契約で子どもの車両に入替を行う(子どもの車検証を提出)
2.保険の被保険者を子どもに変更する(必要があれば、その後契約者も子どもに変更)
3.親は新規に契約をする
同居している証拠として、住民票や運転免許証の写しの提出を行いました。

筆者はSBI損保の自動車保険で行いましたが、等級は他の会社への引き継ぎもできます。詳しく調べたら、もっと安い保険料にできたかもしれません。ただし、同じ会社で引き継ぎをすることで特約の共有ができるのです。例えば、筆者は「自転車事故補償特約」「弁護士費用等補償特約」を付帯しているのですが、別居の子どもにも補償がつきます。

以上、実際に自動車保険の保険料を下げた方法についてお伝えしてきました。親の等級が高い場合は、等級引き継ぎを利用することで子どもの保険料を安くできる可能性があります。筆者の場合は、新規契約でセカンドカー割引も使えたことも有利になりました。正解は一つではありませんから、ご自身の状況に応じて、別の方法も含めて調べてみてはいかがでしょうか。

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