【アニソン四半世紀】シートベルツ「Tank!」アニメに興味のないジャズファンも支持

シートベルツ「COWBOY BEBOP SOUNDTRACK 1」CDジャケット

最初にお断りしておくが、今回紹介する曲は歌のないインストなので、厳密に言えばアニ“ソン”ではない。が、この「Tank!」はまぎれもなく日本のアニメ史に残る名曲といえる。

同曲は、1998~99年に放送されたハードボイルドSFアニメ「カウボーイビバップ」のオープニングテーマで、演奏しているのは作曲を手掛けた菅野よう子率いるシートベルツ。ジャズやブルース系の名だたるスタジオミュージシャンで結成されたバンドだ。

ハードボイルドなアニメの作風に合わせ、「Tank!」もグルーヴィーでスピード感のあるインストジャズ。あの「ルパン三世」もジャズやフュージョンをベースとした音楽で人気が高いが、こちらはもっと純度の高いジャズになっている。

どのくらいガチなジャズかというポイントの一つは、レコーディングエンジニアを担当したのがルディ・ヴァン・ゲルダーだということ。ジャズファンには説明不要だろうが、マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、セロニアス・モンクなどジャズ界のレジェンドの録音を手掛けており、主にジャズの名門レーベル「ブルーノート」で仕事をした人物だ。

そのゲルダーに仕事を依頼したというだけでも作り手側の本気度がうかがえるが、実際に出来上がったものもアニメには全く興味のないジャズファンからも支持された。

ゲルダーは惜しくも2016年に91歳で死去。その生涯に手掛けた多くの伝説的傑作の中に、この「Tank!」も間違いなく含まれるだろう。

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