【大学野球】自転車事故で脳震とう… 2週間欠場で苦しんだ桜美林大2年生、巻き返しの“V王手弾”

桜美林大が東海大に勝利し、30日に優勝をかけて帝京大との一戦へ【写真:川村虎大】

長嶋悠人が4打数2安打1本塁打2打点の活躍

首都大学1部春季リーグは29日、3チームによる優勝決定戦が神奈川・サーティーフォー相模原球場で始まった。桜美林大が3-1で東海大に勝利し、30日に優勝をかけて帝京大と戦う。「7番・中堅」で先発出場した長嶋悠人外野手(2年)が4打数2安打1本塁打2打点の活躍で、悲願にあと1勝と迫った。

一発が、流れを引き寄せた。2-1と1点リードで迎えた7回先頭打者として打席に立つと、東海大・高杉の直球を叩いた。打球は風に乗って右翼席へ。静かにダイヤモンドを1周したが、ベンチで皆に迎えられると、笑顔がこぼれた。

チームに貢献できない日が続いた。リーグが開幕したばかりだった4月11日の帝京大戦後、自転車事故で脳震盪を起こし、欠場が続いた。「1週間以上野球ができなくて、悔しく、チームに申し訳ないなという気持ちがありました。復帰してからも、感覚が合わない状態が続いていて…」。同24日の筑波大戦で復帰してからも、22打数4安打、打率.182と苦しんだ。

不振の長嶋を支えたのは、教育実習で不在の松江京主将(4年)だった。優勝決定戦の前週、ベンチ入りしていた試合で連絡をもらった。

主将からの一言に「だいぶ気持ちが楽になりました」

「お前らは結果出してんだから、自由にやっていいよ」

その一言に「だいぶ気持ちが楽になりました」と感謝する。「松江さんは、試合に出ていなくてもチームを変える、自分が今までにあった中で1番の存在です」。気持ちを楽に打席に向かうことができた。

流れは決して良くなかった。牽制死と盗塁死を2つずつ喫する展開。2回に2点を奪ったが、毎回走者を出しながらも本塁が遠い展開が続いた。「なんとか逃げ切れたという感じでしたね。苦しい展開だったので、長嶋の一発は大きかったですね」と、津野裕幸監督も長嶋の活躍を称えた。

千葉リトルシニアから埼玉・浦和学院に入学するも、2年に上がると同時に地元・千葉明徳に転校。「なかなか使ってもらえずに、当時のメンバーに『お前はここじゃない方が活躍できる』と言われ、地元に戻りました。親には迷惑かけたので、野球で恩返ししたい」と長嶋。家族、そして支えてくれた松江へ。悲願の春季リーグ初優勝へ向け、バットで恩返しをする。(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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