映画「エンドレス・ラブ」ブルック・シールズが演じたのは80年代のジュリエット? 1981年 12月12日 ブルック・シールズ主演映画「エンドレス・ラブ」が日本で劇場公開された日

1981年公開映画、ブルック・シールズ主演「エンドレス・ラブ」

1981年秋、福島県に住む中学生だった私は、金曜日の深夜に放送されていたアメリカのテレビドラマを観るのが楽しみでした。『白バイ野郎ジョン&パンチ』がお気に入りで、この作品が特集されていた雑誌『ロードショー』12月号を購入。これが映画館に洋画を観に行くきっかけとなります。

この年の正月映画の本命はスティーブン・スピルバーグ監督の『レイダース 失われたアーク』。対抗は当時派手な宣伝で波に乗っていた東宝東和配給の『キャノンボール』。そして、同じく東宝東和配給、センセーショナルなラブシーンが売りの、ブルック・シールズ主演『エンドレス・ラブ』。地方は東宝東和配給作品2本立てということもあり、私が選んだのは後者。1982年1月、テアトル郡山で鑑賞。

前置きが長くなりましたが、ブルック・シールズです。幼い頃から子役としてCM等で活躍。1978年『プリティ・ベビー』で12歳の娼婦を演じ、本格的な女優としてのキャリアをスタートさせます。1980年『青い珊瑚礁』では無人島に流され、二人だけでオトナになっていく女の子役。中学生の自分には衝撃的でした(観たのはずっと後ですが)。

そして1981年『エンドレス・ラブ』が公開。スコット・スペンサーの大河小説を『ロミオとジュリエット』フランコ・ゼフィレッリが監督。彼女は前作から1年くらいしか経っていないにも関わらず、すっかり大人びた雰囲気で激しい恋に身を任せる “80年代のジュリエット” を演じます。

本作の相手役には1万人以上のオーディションから選ばれたマーティン・ヒューイット。前作『青い珊瑚礁』のオーディションで選ばれた金髪マッチョのクリストファー・アトキンズに比べると、地味めな普通の好青年。考えてみれば主役を引き立てるための役… 例えるなら『野菊の墓』松田聖子に対する桑原正のような、地味で演技も下手な方が好ましいワケで。

絡みのシーンでは彼女の姿が暗くてよく見えないのに対し、彼の方が脱がされていたりします。その後の俳優人生は、兄を演じたジェームズ・スペイダーや1シーンだけの友人役のトム・クルーズの方が活躍することになるのですが。

作品以上の大ヒット、ダイアナ・ロスとライオネル・リッチーの主題歌

全米では1981年6月に公開され、その年のボックスオフィス第23位。日本においては最終配収11億円1982年のランキングで12位とそこそこヒットという感じ。しかしながら作品以上に大ヒットとなったのは主題歌の方でした。

ダイアナ・ロスとライオネル・リッチーが歌い上げる愛のバラードは、全米シングチャートにて9週間連続で首位(年間トータルでは2位)、ヨーロッパ各国でもシングルチャートにて上位を記録するなど、世界的な大ヒット。

 愛する人は―  この世に あなた一人だけ  それが私の真実

 初めての恋  そばにいる あなたのすべてが  私の生きる喜び

 恋する気持ちを―  あなたに捧げたい  大切な一人の人に

 あなたの瞳は―  やさしく私を 包んでくれる  何があっても あなたは―  私の永遠の愛

ティーンエイジャーの恋愛映画主題歌にしては重たい歌詞、歌唱も粘っこく。

1994年にはルーサー・ヴァンドロスとマライア・キャリーがカバー、さらに2013年アメリカ・ビルボード社が選出した「“Love” が付く楽曲ベスト50」において第1位に選ばれ、時代を超えた名曲として歌い継がれています。

ブルック・シールズ「エンドレス・ラブ」公開後は日本でも活躍

ブルック・シールズに話を戻します。『エンドレス・ラブ』公開翌年、日本ではカネボウ秋のキャンペーンCMに起用されます。バブル風味の衣装、紫の濃いめのアイシャドーで一風堂「すみれ September Love」に合わせてぎこちなく踊る姿は、よく言えば大人びた、悪く言えばフレッシュさがすっかり消えた感じに。

その後数本の映画に出演後、名門プリンストン大学に入学。日本では松本伊代(戸板女子短大)や薬師丸ひろ子(玉川大学)等学業と芸能のお仕事を両立するアイドル達がいたものの、入学してからの方か勉強が大変なアメリカの大学だからなのか学業に専念。この頃皇太子様(今上天皇)が彼女のファンで、留学先のオックスフォード大学学生寮の自室にポスターなど飾られていたというエピソードが話題になりました。

首席で卒業後はテレビドラマやミュージカルに出演するも、映画ではほとんど活躍のないまま本日56歳の誕生日を迎えました。最近は水着ブランドの広告や自身のインスタでも彼女のお姿を拝見することができます。

もともと長身のスーパーモデル体型ですが、エクササイズ等でマッチョ / 爆乳化。ご本人は今が「肉体的にいい気分」とおっしゃっています。私の記憶は『エンドレス・ラブ』の頃で止めておくことにします。

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カタリベ: 高橋みき夫

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