五島市商工会が農林水産大臣賞 「五島つばき酵母」で商品開発 地域産業支援プログラム表彰

ヤブツバキの花とヤブツバキから取り出した酵母(いずれも五島市商工会提供)

 長崎県の五島列島に多く自生しているヤブツバキの酵母を発見し、「五島つばき酵母」として活用に取り組んでいる五島市商工会が2日、新事業や産業創出に取り組む企業を支援する活動を評価する「地域産業支援プログラム表彰」(イノベーションネットアワード2021)で、農林水産大臣賞に選ばれた。
 同表彰は、各都道府県の産業支援機関や大学などでつくる全国イノベーション推進機関ネットワーク(東京)などが主催。本年度は10回目で、企業や大学が実施する地域産業支援プログラム35件の応募があり、同賞のほか、経済産業、文部科学両大臣賞などを選出した。同ネットワークによると、受賞は本県初で、商工会の受賞は全国で初めて。
 五島市商工会は2012年から関連企業などとヤブツバキの研究を始め、花から酵母を取り出すことに成功した。同じ酵母からさまざまな商品開発ができる「万能型」で、発酵力が強いのが特徴だ。
 これまで地元企業を中心に化粧品や焼酎、日本酒、ワイン、パン、魚醤(ぎょしょう)など幅広い商品開発に結び付いた。美容、健康器具を手掛けるMTG(名古屋市)の子会社「五島の椿」(五島市)とも連携し、新たな販路を開拓。同表彰では「島内外の人材を生かし、地域資源を活用した新たな付加価値を生み出す取り組みのモデル」と評価された。
 五島つばき酵母の研究、活用を主導した立石光徳前会長は「五島の資源を生かして活性化を目指す取り組みが注目されてうれしい。五島の知名度を高めたい」、5月に就任した中村権矢会長は「関係者に感謝し、さらなる事業展開を進め、地元業者を支援していきたい」としている。

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