自分で選んで買う喜び 移動販売車でお年寄りを支援 長崎・愛宕団地

県営住宅愛宕団地を訪れた移動販売車で買い物をする住民ら=長崎市八つ尾町

 長崎市八つ尾町の県営住宅愛宕団地で3日、民間の移動販売車「とくし丸」が団地の住民向けに食料品や日用品の販売を始めた。今後、毎週木曜の正午から約30分間販売する。
 県によると、傾斜地に立ち並ぶ同団地は全体で209世帯390人が入居し、65歳以上の高齢者が約半数を占める。自治会によると食料品や日用品の買い物に不便を感じる「買い物弱者」も多いという。住民が移動販売車の活用を要望し、県が団地敷地内での営業を許可していた。
 販売車が団地に到着すると拍手で出迎える住民も。雨天のため屋根のある場所で販売し、住民らはそれぞれに買い物を楽しんだ。田中淑子さん(88)は刺し身や天ぷら、ヨーグルトなどを購入。「重い物はここで買えばよいから便利」とうれしそうに話した。
 集まった人の中には足が悪く、普段は買い物に出ない住民もいた。この住民を部屋まで送り届けた管理人の女性は「自分で選んで買えることを喜んでいた」と感想を代弁。自治会の鶴田征一郎会長は「雨の中、住人が集まりみんなが待っていたと分かった。週に2回ぐらい来てほしい」と話した。


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