楽天・石井監督はなぜ辰己に厳しいのか 2日連続の名指しゲキ&懲罰交代 

試合後は辰己(右)を笑顔で迎えた石井監督だが

「昨日は試合直後だったので何となく気持ちは分かるけど、まさか今日もあそこまで言うとは…」

報道陣からこんな声が漏れたのは3日のヤクルト戦(神宮)前のこと。楽天・石井監督が囲み取材の中でプロ3年目の辰己涼介外野手(24)に対して2日連続でゲキを飛ばしたからだ。

前日2日の試合では2点リードの8回一死から中前打で出塁するも直後に牽制死。一瞬にして追加点の好機を逸するミスを犯していた。指揮官は勝利した試合直後にも関わらず、辰己のプレーについて言及。「あそこで何が一番いけないかっていうところを今いる先輩に学んでほしい。ああいうプレーをしていたらレギュラーをスルっと逃がしちゃうので…。もっと野球の地頭を良くしてほしい」と不満を露わにしていた。

石井監督が試合直後にミスした選手を名指しで批判することはある。ただ、翌3日の試合前にも辰己の名前が出るや「無難に無難にというか…それが悪い方に働くことが多い」と指摘。その上で「殻を破ってほしい」と改めて発奮を促したのだから心中穏やかではないのだろう。

なぜ、石井監督は執拗に辰己に厳しい言葉を投げかけるのか。あるチームOBは「本人への期待もあるのですが、一番の理由は彼の伸び悩みに頭を抱えているのではないか」とこう続ける。

「辰己は走攻守三拍子揃った逸材として2018年のドラフト1位で入団しました。でも、その後は期待通りの活躍をしていない。打率は昨年まで2年連続で2割2分台。今季も開幕直後こそ好調でしたが、その後は成績が下降線を辿っている。監督もその辺りを察知しているからこそ厳しい言葉で奮起させようとしているのでしょう」

そんな辰己は3日の試合に「7番・中堅」でスタメン出場。2回の第1打席では空振り三振に倒れ、2―2の4回無死満塁の絶好機にまさかの見逃し三振。「やり返してやるという感じが見えなかった」(石井監督)ことから6回の第3打席に代打を送られた。

発奮を促しても期待通りに成長曲線を描いてくれないもどかしさ…。指揮官の「結果が出ないのは仕方ないんですが、やっぱりプロセスの方が大事なんで」との思いは辰己に届くのだろうか。

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