昭和生まれのアラフォー~アラ還が懐かしむ日本の歌手や楽曲を、平成生まれ世代や外国生まれのミュージシャンはどう聴くのか? マーティ・フリードマンと風男塾の紅竜真咲、桜司爽太郎が日本の懐メロの魅力を分析します。今回もテーマは沢田研二。若い2人が「今また売れる!」と思った曲とは? 曲を聴きながら読んでみてください。
【沢田研二論②】
――前回に続き紅竜さんが名前を挙げた沢田研二がテーマ。まずは「勝手にしやがれ」(1977年)を聴いてみましょう
紅竜:沢田さんはこの曲のイメージが強いです。
マーティ:イントロからエセラテン風ですね。マイナー調なんだけど、本格的に悲しいマイナーではなく、ダークな雰囲気がないでしょ。アップテンポで、僕からすると面白いラテンの曲って感じです。
桜司:このころの曲はラテン系が多いですね。
マーティ:途中で沢田さんが「あ~あ~」と歌っているところは、完全にフラメンコです。女の人がバラをくわえてるイメージだよ。それからこの曲は、終わり方がとても日本的なんですよ。
桜司:最後の「チャンチャチャン」ですか?
マーティ:米国の曲なら、絶対、エンディングは「あ~あ~」と歌いながらフェードアウトします。
紅竜:面白い! そういう聴き方もあるんですね。
――続いて「サムライ」(78年)を聴いてみましょう
マーティ:この曲はかっこいいですね。ドラマチックです。
紅竜:演歌っぽくもないですか?
マーティ:そうですね。それにプレスリーっぽさもあります。リズムはブルースで、伴奏とコーラスが60年代中盤のプレスリーっぽいです。僕はこの曲、好きですよ。演奏したくなります。ダサくないじゃん。
桜司:このころの沢田さんって、本当にイケメンですよね。化粧したり、ビジュアル系をかなり早く先取りしていた感じじゃないですか?
――まさに、日本における始祖的存在です
紅竜:線が細くて、女性的な美しさもありますね。
――次は「カサブランカ・ダンディ」(79年)です
紅竜:女の頬を張り倒してって、すごい歌詞。今の時代じゃダメかもしれないけど、自分はこの曲、かっこいいと思います。気だるげな感じがすごくいい。
桜司:色気とエロさがありますね。このころは帽子を斜めにかぶりがちだったんですね。
――曲はどうですか
マーティ:声が独特で、歌がうまい。音はドゥービー・ブラザーズの初期、スタジオ系ロックっぽいです。ビートが今と違いますね。今はあまりしないビート。スイングが違う。
紅竜:このイントロ、クラブで流れててもアリですよ。おしゃれで。
桜司:若い子にウケそう。聴いたことがないタイプの音楽です。
紅竜:今出したら売れそうですよ。この悪っぽい感じ、女の子が好きそう。
桜司:新しさを感じます。
マーティ:そうだね。
桜司:踊り方も、今のようにバリバリ踊るのではなく、余裕ある大人って感じで斬新。「ついてこれんのか?」という感じがセクシーです。
紅竜:この曲を歌いながらスタンドマイクで倒れるようなパフォーマンスやったら、女の子はグッときそう。
――若い風男塾の2人には新しいタイプの音楽に聞こえるんですね
マーティ:沢田さんは声がいいしセクシーだし曲が覚えやすいし、人気になった理由がよくわかります。カリスマ性もありそう。僕は男性ボーカルはあまり聴かないけど、女の子だったらきっとファンになってます。
☆マーティ・フリードマン=米・ワシントンDC出身のギタリスト。1990年から2000年までメガデスに在籍した。04年から日本に拠点を移し活躍中。風男塾のシングルカップリング曲「Excuse You!」を作曲&プロデュース。
☆ふだんじゅく=男装ユニット。「人を元気にする」という活動理念のもと、歌やパフォーマンスを行うほか、男性ファッション誌のモデルも務めている。11月6日にニューシングル発売予定。