7割で労働法令違反 残業150時間超も 長崎県内76事業所調査

 長崎労働局が、残業などの時間外労働や賃金を支払わないサービス残業など労働基準関係法令の違反について、昨年11月、県内の76事業所を抜き打ちで調査したところ、7割超の56事業所で違反があった。過労死リスクが高まるとされる月80時間を超す時間外労働が10事業所で確認され、150時間超えもあった。
 働き方改革に伴い、労働基準法は時間外労働の上限を原則月45時間、年360時間に規定。労使協定(三六協定)を結んだ場合でも、月100時間未満、2~6カ月平均で80時間以内、年720時間以内となっている。2020年4月から中小企業も適用対象。
 調査では違法な時間外労働が22事業所で確認された。ある旅館業では、昨秋「Go To トラベルキャンペーン」で利用客が増加した影響で、従業員8人の時間外労働が月80時間以上となり、うち1人が150時間を超えた。別の製造業では、三六協定を締結していないにもかかわらず、従業員6人に最長で130時間超の違法な時間外労働をさせていた。
 ほかに、派遣業などの12事業所でサービス残業が判明。ストレスチェックなど過重労働による健康障害を防ぐ措置を取っていなかった事業所も12事業所あった。労働局はそれぞれに是正を勧告。改善されない場合は書類送検も検討する。「違反率は7割を超えており高い水準。上限規定は中小企業も対象だということを周知、指導していく」としている。
 調査は、全国的な「過重労働解消キャンペーン」の一環。外部からの情報提供などを基に調査対象を選んだ。

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