諫早の画家と作家が“再会” 13日まで企画展 市美術・歴史館  荒木幸史 野呂邦暢 

諫早菖蒲日記の表紙原画「友情」に見入る来場者=諫早市美術・歴史館

 長崎県諫早市出身でコスモス画家として知られる荒木幸史の作品と、親友で芥川賞作家の野呂邦暢の直筆原稿などを展示する企画展「荒木幸史展~親友・野呂邦暢との再会」が、同市東小路町の市美術・歴史館で開催されている。観覧無料。13日まで(火曜休館)。
 「2人の再会」をテーマに、荒木作品26点と野呂関連資料23点を展示。野呂の小説「諫早菖蒲日記」(新装版)の表紙を手掛けた荒木の原画「友情」が荒木の遺族から寄贈され、初公開している。
 2人は高校生時代、県立諫早高美術部に所属し親交がある。野呂は作品「夜の海で」で1学年上の荒木との交流を描写している。2010年、野呂の没後30年を記念し発刊された「諫早菖蒲日記」(新装版)の巻末には、表紙絵を依頼された荒木が「コスモス以外の花を描くことに迷ったが、かつての親友のために描くことにした」とコメントを寄せている。
 表紙絵を市に寄贈した長女の荒木由美さんは取材に対し「諫早は父が生まれ育ち、眠っている場所。その諫早で次世代の人に見てもらい、今も空の上で絵を描いているだろう父の心を感じてもらえれば」と話した。荒木さんは今回、画集180冊も市に寄贈。市は市内の小中高校、図書館に配布する。

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