<金口木舌>現代のソフィスト

 詭弁(きべん)というには少々お粗末かもしれない。ご当人は納得する人がいると本気で思っているのだろうか。2日のテレビ番組に出演した二階俊博幹事長の発言のこと

▼政治と金の問題で「ずいぶんきれいになってきている」と二階さんはおっしゃる。「全然きれいではないよ」というのが国民一般の受け止めのはず。それとも、これまではもっと汚れていたか

▼いずれにせよ、この発言を受け入れるわけにはいかない。党内からも異論が出るくらいだ。元参院議員の河井案里氏の案件しかり。菅原一秀前経済産業相の案件だってそう。この政権党は金に絡む不祥事ばかりが目に付く

▼古代ギリシャには金銭をもらい弁論術を教える知識人「ソフィスト」がいた。政策を押し通すために弁舌を駆使する現代のソフィストは時に人々を幻惑する。二階発言もその類いだろうか

▼コロナ対策にしろ、東京五輪にしろ、政府や政権党はもっともらしいことを言いながら、往々にして中身が伴わない。沖縄に対してだってそう。津堅島への米軍ヘリ不時着で「地域に不安を与えるものだ」と述べた岸信夫防衛相。本心はいかに

▼政治家が軽々しい言葉を発し、ごまかしが放置されるような異常な事態。二階幹事長の「きれい」発言よりも巧妙なごまかしを見抜く力を持たねばならないようだ。私たちが生きる時代は何ともややこしい。

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