ソフトバンク 三森の昇格即スタメンで見えた苦しいチーム事情

三森大貴

ソフトバンクは4日の阪神との交流戦(甲子園)に1―6の完敗。過去15年で8度制覇の“交流戦の鬼”が、ここまでセ・リーグ主催試合で5敗2分けといまだ勝てず、交流戦11位に沈んでいる。

負の連鎖を断ち切れないチームはこの日、牧原大の登録抹消に伴い緊急昇格した三森大貴内野手(22)を即「1番・二塁」でスタメン起用。この抜てきの裏に、打開策が見いだせない苦しいチーム事情が透けて見えた。

前日3日のDeNA戦で左太モモ付近の張りのため途中交代していた牧原大。その代役としてやってきた三森に、工藤監督は試合前「幸いなことに神戸で練習してましたので(合流に)時間もかからなかった。以前から(ファームで)状態がいいと聞いていた」と、二軍関西遠征中のウエスタン首位打者の招聘理由を説明。さらに「野手全権」の小久保ヘッドコーチは三森の即スタメン起用について「これが福岡だったらスタメンはない。シートノックもない中、いきなり一軍に上がってきて失敗したらこちらの責任。ハツラツとやってくれればいい」と明かし、22歳の背中を押して送り出した。

起爆剤や打開策が見いだせない中で、三森に「救世主」を託すしかなかった。5打数無安打に終わった三森の結果うんぬんではなく、そこが鷹の厳しい現実だったという認識はチーム内にもあった。王者がこれまで難局をくぐり抜けてこられたのは、12球団随一の戦力を生かして勝ってきたからだ。

五輪予選敗退のモイネロの帰還が早まることは鷹にとって朗報だが、数少ない野手陣の起爆剤として期待できるデスパイネは同予選で左肩を負傷。手詰まり感を隠せない状況で明るい兆しが少ないのが悩みどころだ。常勝軍団に今、強い逆風が吹いている。

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