体操の全日本種目別選手権(群馬・高崎アリーナ)の決勝が6日に行われ、東京五輪団体メンバー4人と個人枠1人の全5選手が確定した。
団体はすでに代表入りを決めていた橋本大輝(19=順大)、萱和磨(24=セントラルスポーツ)に加え、今大会の成績で谷川航(24=セントラルスポーツ)、北園丈琉(18=徳洲会)の2人が内定。個人枠は種目別・鉄棒で出場を狙っていたキング内村航平(32=ジョイカル)が4大会連続出場を果たした。
光もあれば影もある。代表入りを逃した選手の中にはリオ五輪団体金メダルのメンバー・白井健三(24=日体大教員)もいた。近年はケガの影響もあって以前のようなパフォーマンスができなかった。4月の全日本選手権は28位、5月のNHK杯は2種目(床、鉄棒)のみのエントリーで29位。選考レースに加わることすらできなかった。
試合後、この1年を振り返った白井は「過去のプライドを捨てた」と口にした。思うようにいかない現実と周囲からの期待――。その中で強く感じたことがあったという。
「昔の自分が邪魔だったというのは紛れもない事実。昔の自分だったら強くなった日本でも通用してたかなとか、何度も思いましたが、昔の自分にすがっても何も解決しないと思いました。レベルが上がっていく日本を素直に受け入れ、食らいついていくために自分は何をしたらいいのかって考えだしてから楽に練習ができるようになった。やっぱり五輪選手とか世界選手権金メダルという昔の〝肩書き〟が自分の首を絞めていた事実はあると思います」
過去の栄光を捨てると新たな境地に立つことができた。
「今の自分を受け入れた方が楽だっていう感情、受け入れることができる強さを持てる人って少ないんじゃないかって思った時、今の自分に最もいい選択は素直に今の自分として生きることだと思った」
ガラっと若返った代表メンバーに対し、白井は「一ファンとして、国民として応援するべきだと思っている」とキッパリ。自身の今後については「今は何も考えてないですね。次の考えはまとまっていないです」と話した。体操選手としての理想を持ち続け、新しい一歩を踏み出していた。