巨人・菅野1か月ぶり復帰で球団は〝エース流出〟を想定した来季編成に着手へ

菅野のメジャー移籍へのハードルは高くなるとの見立てだが…

ようやくエースの帰還だ。巨人・菅野智之投手(31)が6日の日本ハム戦(東京ドーム)で「右ヒジの違和感」から1か月ぶりに復帰し、5回2失点で今季3敗目を喫した。今後は大車輪の活躍が求められるが、当初の首脳陣の見込みを上回る長期離脱。来オフに見据えるメジャー再挑戦へのハードルが高くなる一方で、球団サイドは早くも〝菅野流出〟を想定し始めている。

復帰戦としてはまずまずだった。2回に王柏融にソロアーチを浴びるなど序盤で2失点。それでも、今季初の先発マスクをかぶった小林とのバッテリーで徐々に持ち直し、5回を3安打、無四球、6奪三振でまとめた。

5月7日のヤクルト戦(東京ドーム)を最後に離脱して以降、シート打撃こそ行ったが、二軍戦をスキップしての〝ぶっつけ登板〟。この日は上限100球を目安に90球で降板となり、原辰徳監督(62)は「球数的には予定通りですね。まあ、この次に期待でしょうね」とした。

チームは2―4の敗戦となったが、先発陣の苦しい台所事情を考えれば、エースのカムバックは喜ばしい限り。しかし、首脳陣の見立てからすれば、離脱の長期化は大きな誤算だったに違いない。当初は「(登板を)1回飛ばす」と最短10日での復帰を見込んで登録を抹消したが、大幅にズレ込む形となった。

こうした経緯を踏まえ、球界関係者からは「もちろん本人も分かっていると思うけど、ヒジを痛めて結果的に1か月離脱したことはメジャー側の心証にプラスには作用しない。加えて来オフもメジャーを目指す上では年齢も加算される」との声も上がった。

菅野は昨オフにポスティングシステムを利用してメジャー移籍を目指し、最終的に巨人残留を決断した。来オフはポスティングだけでなく、今季中に海外FA権を取得する可能性もあるが、夢の実現へのハードルはいっそう高くなるとの見立てだ。

だが、一方の球団側には早くも〝菅野流出〟を想定した来季編成に着手する用意があるという。背広組の一人は「そもそも昨年は菅野がいなくなる前提で球団は動いていた。今度のオフも同じようになるのではないか」との見通しを示した。

昨オフは菅野のメジャー移籍が実現する前提に補強に乗り出し、投手では井納をFAで獲得した。ただ、それだけでは巨大な菅野の穴を埋めることは不可能と判断し、次なる手を打った。チーム全体の強化策として野手を補強することで得点力アップを目指し、スモークとテームズの両助っ人、FAで梶谷を獲得。菅野の意思は球団の編成方針にまで連動するため、結果的に残留となっても投打で穴埋めを図ることになりそうだ。

菅野が再び夢の扉を開くには、今後の快投連発が欠かせない。「次は球数が増えてくると思うので、自分の仕事がしっかりとできればと思います」。来季の大黒柱がどこのユニホームを着るにせよ、球団は静かに来たる日への備えを進めていく。

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