巨人を悩ます東京五輪問題…開催中止なら「中断期間消滅→パンク」の危機感

一軍に抜てきされた実松バッテリーコーチ

〝野戦病院化〟に歯止めをかけられるのか。セ・リーグ2位の巨人は25日に開幕する交流戦で、まずはパ2位の楽天を東京ドームで迎え撃つ。ただ、故障者が後を絶たず、戦力は万全とは程遠い状況で原辰徳監督(62)も難しいかじ取りを迫られそうだ。そんな中で、チーム内では開催可否に揺れる東京五輪の代表選考以外でもいっそうの注目を集めている。その理由とは…。

2014年以来の交流戦Vへ、まずは首脳陣の配置転換を行った巨人。24日に実松バッテリーコーチの一軍抜てきを正式発表し、新たな頭脳を加えて7年ぶりの優勝を目指す。

とはいえ、戦力は整わないままだ。投手陣では右ヒジを痛めて離脱した大黒柱の菅野を欠き、2戦連続で早期降板となった今村もこの日に二軍落ち。6連戦が続く中、先発の6人も揃わない苦境だ。野手も受難続きで、右手親指を骨折した主将・坂本の復帰の見通しはまだ立っていない。右アキレス腱を断裂した新戦力のテームズは今季中の復帰が絶望的で、前日(23日)の中日戦(バンテリン)ではリードオフマンの梶谷が守備で左太もも裏を痛めて途中交代…。首脳陣は今後の回復具合を見極めていく模様だが、相次ぐ主力のケアは原監督も頭が痛いところだ。

すでにDH制となるパ主催試合用のオーダーも練っていたが、梶谷の状況しだいでは「またアレかな」と別バージョンも模索するつもりでいる。

そうした中で巨人では開催が不透明な東京五輪の行方に、いっそうの注目が集まっている。誰が日本代表に選ばれるのかもさることながら、五輪開催で予定される「中断期間」の有無についてだ。

予定通りに開催されれば、7月19日から8月12日までの約1か月間はペナントレースがストップし、その期間をリカバリーに充てることも可能となる。しかし、中断期間が消滅した場合は後半戦の日程が前倒しされることが想定され、選手たちの疲労はさらに蓄積されていくというわけだ。そのため、球団内には「もし中断期間がなくなったら、ウチに限らず、パンクしてしまう」との危機感が充満している。

「9回打ち切り制」が導入された今季は、リリーフ陣の負担が増大する傾向にある。継投策が確立されたチームは9回から逆算して救援陣を投入することができる。一方で、同点やビハインドの展開でも僅差であれば傷口を広げないために、主力投手をつぎ込むケースが多く、巨人では中川がリーグトップタイの23登板となっている。

条件はどの球団も同じながら、リリーフ陣を整備しきれず、ブルペンが連日のフル稼働となっている巨人。中断期間もなくなれば、いよいよシャレにならなくなってきそうだが、果たして――。

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