<美のチカラ>五感で感じる美術館 「みみをすますように 酒井駒子展」(前編)

東京都内にある美術館や博物館から魅力的な作品の数々をご紹介するコーナー<美のチカラ>です。今回は、2020年4月に東京・立川市にオープンした複合施設「GREEN SPRINGS」内にある美術館「PLAY!MUSEUM」で開催中の「みみをすますように 酒井駒子展」を紹介します。

「みみをすますように 酒井駒子展」は、世界的に有名な絵本作家・酒井駒子さんの20冊を超える絵本を中心に、およそ250点を厳選した酒井さん自身初となる本格的な個展です。PLAY!広報の小林はるかさんは『みみをすますように』というタイトルについて「酒井さんのすてきな絵と詩的な文章の響き合いを、かすかな聞こえないような音を探すように、森の中を散歩するように楽しんでほしいという思いで付けた」と話します。

今回のポスターにも使われている代表作『BとIとRとD』原画(白泉社・2009年)について、小林さんは「段ボールの上に黒い絵の具で下塗りされている。その上に色を重ねている特徴的な画風が酒井さんのトレードマーク。繊細なタッチが特徴的なので、そこも段ボールとの兼ね合いがすごくすてきになっている」と話します。まるで絵本の世界に入り込んだような感覚で楽しめるこの展覧会は『みみをすませば』登場人物たちの息遣いが聞こえてきそうです。

「PLAY!MUSEUM」は6月1日から営業を再開しています。コロナ禍のいま「館内では大きな声でおしゃべりするのは少し我慢して、絵や森の音、木の香りといったものを森の中を散歩するように楽しんでほしい」と話しています。次回は酒井さんの代表作『よるくま』をご紹介する予定です。

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