「栂海新道」全線開通50周年 節目祝い山開きと登山 糸魚川市

 北アルプスと日本海をつなぐ全長約28キロの縦走登山道「栂海新道」は、4日で全線開通50周年を迎えた。新型コロナウイルス感染防止対策を施す中、半世紀の節目を祝う山開き・安全登山祈願神事と記念登山が6日、登山口に当たる糸魚川市の親不知コミュティ広場と白鳥山で開かれた。

 関係山岳会の有志、来賓、田沢地区公民館栂海新道登山の参加者らが出席。開設者の故・小野健さんをしのび、先人の足跡を振り返りながら継承を誓った。

 デンカ青海工場に赴任した小野さんは、黒姫山からの眺望に魅せられアルプスと海をつなぐ登山道を構想。1961年に「さわがに山岳会」を結成し、新道開拓に着手した。幾多の困難を克服し同71年6月4日、親不知まで開通させた。その後は多くの山岳会が登山道の維持管理に関わり、現在までつないできた。

 記念の催しは、栂海岳友会(靏本修一代表)とカタクリクラブ(小野茂信代表)の主催で実施し、約80人が参加。「海のウエストン祭」は、親不知クリーン活動とともに、7月18日に行われる。

 式の冒頭で、栂海新道に情熱を注ぎ今年4月22日に死去した故・齊藤八朗さん(元カタクリクラブ会長)をしのび、遺影に向かい黙とうした。同日は、最初の開拓に入ったさわがに山岳会のメンバーも参列。小野さんの銘板、ウォルター・ウエストン像に献花し顕彰した。

「栂海新道」50周年に当たり、開祖の小野健さんをしのんで銘板に献花する出席者

 栂海岳友会の靏本会長は、半世紀にわたり紡いできた〝物語〟に感謝。昨年一部崩落した登山道の復旧を報告し、今後行われていく記念イベントに向けて「大先輩が残され、守り、愛し続けた栂海新道の一年間の自然賛歌を、皆さんでつくり上げていきましょう」などと話し、未来への協力を呼び掛けた。

 引き続き、参加者は白鳥山(標高1286メートル)の記念登山に出発した。田沢地区公民館栂海新道登山に参加した田沢小6年の男子児童は、「最後まで上り切りたい」と抱負。「石などが多く、海と森、山が近い」と地元の自然への愛着を話した。

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