高齢者ワクチン予約に支援の輪 若者や地域住民らが代行 長崎県内

地域の高齢者にタブレット端末などの画面を見せながら、インターネットでワクチン接種の予約を代行する「戸町みらいまちづくり協議会」のメンバー(奥2人)

 新型コロナウイルスワクチンの速やかな接種が感染対策の鍵となる中、長崎県内で高齢者の接種予約を支援する動きが広がっている。県内の多くの自治体はインターネットと電話による先着順で受け付けているが、インターネットに不慣れな高齢者は多く、電話はつながりにくい。混乱を受け、長崎と佐世保両市では地域の人たちが支援に立ち上がった。
 「希望の日にちはありますか」。7日午後、佐世保市の大宮公設市場。農作物などが販売される市場の空きスペースで、20~30代の男女4人がパソコンを広げた。市場に訪れた高齢者に希望を聞き、予約枠を確認。集団接種の予約を手助けした。
 サポートを発案したのは高齢者の相談対応をしている山澄地域包括支援センターの園田康訓センター長(38)。予約受け付けが始まった5月10日以降、センターにも市への苦情が寄せられ、月末までに少なくとも30件に上った。「ワクチンを打てないのでは」「どうしたら電話がつながるのか」-。高齢者の不安の大きさを実感し、知人に協力を依頼した。今後も接種の状況を見ながら支援活動を続けるつもりだ。
 県によると、1回目のワクチン接種を終えた県内の65歳以上の高齢者は約16%(5月30日時点)。各自治体は比較的予約が取りやすいネットを推奨している。だが「ネットは使えないし、近所の人にも頼みにくい」との声もあり、サポートを必要とする人は多い。
 接種日が決まり、ほっとした表情を浮かべるのは長崎市戸町地区の小川澄江さん(82)と奥野ヤス子さん(79)。予約ができず困っていた2人を、同地区の自治会やPTAなどでつくる「戸町みらいまちづくり協議会」が結成した「お助け隊」が、同協議会の事務所でサポートした。
 希望した通り、2人同じ日時に決まり、小川さんは「(奥野さんと)一緒の時間に予約ができて感謝。早くマスクを取れる日が来ると良い」と笑顔を浮かべた。
 協議会は、お助け隊として10~15人程度のボランティアスタッフを確保する予定。下道正義会長(69)は「昨年はコロナの影響で、夏祭りや高齢者サロンなどまちづくり協議会の事業ができなかったが、こんな時こそ私たちの出番」と意気込む。
 同市内では他に「土井首地区コミュニティ協議会」(松尾英昭会長)も今月から同様の予約代行に取り組んでいる。

 


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