心弾む

 手のひらを開いた状態で1、2、3…と数を数えていくと「6」で小指が立つ、それが「子が立つ」につながって縁起がいい…という説を以前に聞いた気がする。お稽古や習い事は6歳の6月6日に始めると上達しやすい、という言い習わしがある▲米国時間の6月6日、ゴルフ史に残るニュースが飛び込んできた。19歳の笹生優花選手が女子のメジャー大会、全米女子オープン選手権で初優勝を果たした▲「男子並み」とされる飛距離を武器に、スコアの伸びにくい難コースを果敢に攻め、初日から上位をキープ、同じ日本の畑岡奈紗選手をプレーオフの末に振り切った。ジュニア時代から世界を舞台に戦ってきた逸材、ゴルフを始めたのは8歳とか▲このほか、陸上男子100メートルの日本新記録「9秒95」に、米メジャーリーグでの“先輩・後輩対決”や体操の内村航平選手の4大会連続五輪切符…と、先週末からスポーツの心弾む話題が続いた▲〈6歳の6月6日〉を地で行く英才教育あり、徹底した自己管理と節制の積み重ねあり、彼ら彼女らの成功の背景はさまざまだが▲こうしたニュースに触れるたびに気づく。今の私たちは、自分で思った以上に明るさや痛快さを渇望している。コロナに疲れ、自粛にくたびれた窮屈な日々を、彼らの笑顔が救っている。(智)

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