堀潤が現場取材! コロナ禍で苦境に立たされる「飲食店」のリアルな悲鳴

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。5月26日(水)放送の「フラトピ!」では、キャスターの堀潤が“コロナ禍で苦境の飲食店”を取材しました。

◆都の自粛要請に従うも協力金が支払われない…

3度目の緊急事態宣言により自粛営業を要請されている飲食業界は今、悲鳴をあげています。そんななか、飲食チェーン「グローバルダイニング」は休業要請に応じなかったため、都から改正特別措置法に基づく休業命令を受けたことを明らかに。また、補償の不備などを挙げ「命令に従わず通常営業を続ける」と表明しています。

この問題のポイントとして、堀は「東京都側が根拠を示しながら休業命令が適法ということを示せるか」と指摘。飲食店側からは、なぜ時短営業なのか、なぜお酒の販売をしてはいけないのか、その辺りの説明が求められるなか、今回堀は営業自粛をしている店としていない店の2店舗を取材。

まず訪れたのは、恵比寿駅から徒歩5分の場所にある「Chinese Dining 方哉」。こちらは現在、お酒の提供ができないため、夜(ディナータイム)の営業は休業中。都の要請に従っているので感染拡大防止協力金が支給されるはずですが、まだ支払われていません。

店主の佐藤方哉さんによると、2月初頭に申請するも2ヵ月経っても支給されず、感染拡大防止協力金相談センターに問い合わせたところ、そこで申請書類に「不備があります」と理由を告げられました。

佐藤さんは「申請して2ヵ月待っていたのに『不備がある』と言われても、どういうことなのかと。もしも(こちらから)問い合わせをしなかったら埋もれたままじゃないかと不安と不信感が募る」と悲痛な思いを明かし、その後すぐに不備を訂正し提出し直したものの、その協力金はいまだ支払われていないと言います。

◆後悔したくない…スタッフを守るために営業再開

次に取材したのは新宿・歌舞伎町にある飲食店「鉄板ベイビー」。こちらは都の要請に協力してきましたが、緊急事態宣言が延長された5月12日からは午前5時までの通常営業に戻し、感染対策を徹底した上でお酒の提供も再開。鉄板ベイビー(株式会社G5)代表取締役の深来勝さんは「ずっと要請に従ってきたんですが、今、決断して動き出さないと本当に店舗が潰れてしまうところまできたので、反対の意見も覚悟して通常営業に踏み切った」と苦渋の決断だったことを明かします。

その背景にあるのは、自治体や政治家などへの不信感。そして、通常営業を再開した一番の理由はスタッフを守れなかったことだと言い、「『ここでは生計が立てられないから』と別の職場にいった仲間がいる。生きていくためなので仕方ないが、これ以上後悔したくないので、全力で(スタッフを)守っていきたい」と涙ながらに語る深来さん。

食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんも複雑な思いを抱えながら明治時代の料理が楽しめる飲食店「食の會 日本橋」を切り盛りしています。現在、夜は完全予約制でアルコールの提供は自粛していますが、「緊急事態宣言を含め、重要であると理解しているが、ちょっと厳しすぎるというか、仕方ないとは思いつつも、もう少し良い方法がないか」と実感を語ります。

また、長内さんは先が見えない現状に飲食業界から一流の技術を持った調理師やスタッフが別の業界へと移動せざるを得ないことを危惧。流出してしまえば経営者だけでなく、「消費者も美味しい料理や行き届いたサービスを受けられなくなってしまう」と警鐘を鳴らします。

◆協力金が支払われない…都の回答は?

今回、番組では東京都に文書で質問を行いました。まず、協力金の支給状況については1月分の申請件数が約10万6,000件で支給済は約9万,000件。そして、3月に至っては約7万8,000件の申請に対し、支払ったのは約3万8,000件と多くの店舗が支給されていません。その理由について、都は「1月分以降から営業実態確認の提出書類が増えたことで申請不備が増え、確認の連絡に時間を要している」との回答が。すると、堀は「そもそも都も各店舗の営業実態を把握しているのか」と疑問を呈します。

また、飲食業の現場の声を集約する機会に関して質問してみると「現場の実態については精通している。事業者団体とは随時意見を交換し事業に反映させている。引き続き、現場の実態を踏まえ、事業者の声を聞きながらやりたい」とのこと。そしてサポート体制について、都の担当者からは「委託業者などを導入しつつ、時期をみて体制拡充している。引き続ききめ細やかなサポート体制を作りたい」、「協力金の問い合わせは、平常1日1,500~2,000件前後。電話が繋がりづらいとのことだが、統計的には96%ほどは応答できている」との回答でした。

これに堀は「やっているのは知っているが、現実には(協力金が)届いていないところがある。そういった状況に具体的にどう進めていくのか。逆に都は今、何に困っているのか。どこにジレンマがあるのかを正直に教えてもらえれば、みんなで一緒に考えようという気になる」と意見。さらには、「もっと協力金が速やかに、適性の範囲で支払われていれば私たちも含めて従いましょうということになる。ぜひ改善していただきたい」と希望します。

最後に、行政に求めることを長内さんに聞いてみると「絶対に『食べる』ことはなくならない、『食べる=コロナの危険』が起こらない方法と認識を」と主張。「飲食店は、お客さんが来ないこともつらいが、それ以前に『(お店に)来てください』と言えないことが非常につらい」と言い、「常時、緊急事態である状況になってしまうことが一番良くない」と指摘。なぜなら、時間とともに気の緩みが生まれてしまうから。そして、例えば、1人で黙食するなど、「コロナの危険がない状況で食べる、その方法の確立と折衷案を今後は展開していただかないと、飲食店は立ち行かなくなる」と訴えていました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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