【2021上越市長選】選挙戦確実 前哨戦に熱 10月選挙に向け3氏が表明、元市長動向注視

 今秋の上越市長選(10月24日告示、31日投開票)に向け、前同市副市長の野澤朗氏(63)が6日、正式に出馬表明を行い、すでに表明し活動している元市議の中川幹太氏(45)らとの選挙戦が確実な情勢となった。昨年の市議選でトップ当選した元市長の宮越馨氏(79)の動向も注目されている。残り4カ月余り、前哨戦や駆け引きの熱は増していきそうだ。佐渡市の行政書士、後藤浩昌氏(60)も立候補の意志を示している。3期目の現職、村山秀幸氏(72)は今季限りでの退任を表明している。

野澤氏 正式出馬表明

 野澤氏の出馬表明会見のセッティングは異例ともいえるものだった。NPO法人や市民団体で活動している人、市に移住し起業した人らでつくられ、同氏を支持する「(仮称)上越の未来創造実践会議」のメンバーが正面に一緒に並んだ。

意見交換をしてきたメンバーも同席で出馬表明した野澤氏(中央、6日、上越市新光町1の事務所)※マスクを外して撮影

 団体とは離れて個人で参加しているとしながら、一人一人が「市民と平等対等に話し合い、実行実現できる人」「この人なら市民の代弁者になってくれる」「いろいろな人をつないで、引っ張ってくれる」「上越を託したい」とこれまでの交流を通じ、同氏を推す理由を話した。

 5月21日、副市長を退職した日に支援市議団の設立準備会に出席し、支援を求めた。同25日、実践会議の名称を生かし、自ら代表とする「上越の未来創造実践研究所」を発足、翌日、県選挙管理委員会に政治団体として届け出た。市役所に近い新光町1地内に事務所を設け、市長選への政治活動を本格化させる体制を整えている。

 同会議のメンバーを含め「あらゆる市民や団体、県議や市議とも意見交換する時間をつくり、公約という形でまとめていきたい」と話し、公約は1カ月後をめどに示す考え。同時に、各種団体や政党の推薦を求めていく予定で、後援会の発足も急ぐ考えを表した。

中川氏 先行して活動

 前回市長選で現職に惜敗してから再挑戦の意志を示し、昨年7月に正式に出馬表明した中川氏は先行して実質的な活動を展開している。あいさつ回りやつじ立ち、街宣車での活動の他、「若い力を市政に」と記したのぼり旗を作成し、各所に立てている。事務局体制を整え役割を決め、「選挙経験がある人も入って、チームのようになり、しっかりとしている」と体制強化を図った。

 全世帯を目標とするあいさつ回りは前回選挙後から、約3万軒に達した。昨年12月までに市内約820ある町内会の会長の元へ直接足を運び、推薦願いを依頼。約70町内会から返ってきたという。

前回選と同様、支持拡大のため、あいさつ回りを重ねる中川氏(左、8日、上越市五智地区)

 政党や特定の業界には頼らない方針だが、票を見込める連合上越には支援を要請している。公約は、「前回の選挙で頑張っていただいた」という自身の「世話人会」などと練り、今月末から来月にかけて示す考え。

 「(野澤氏は)チャレンジャーというけど、業界の支援があり、組織立っている。私の方がチャレンジャー」とし、「コロナ禍で災害、豪雪に対する意識が強い。全国的に若い知事や市町村長が頑張っており、その印象を受けている方がたくさんいて、いい反応」と手応えを口にしている。

 両氏をめぐっては12年前の平成21年の市長選で、三つどもえの戦いだったところに、中川氏が当時同市の部長だった野澤氏に出馬を要請した経過もある(結局、3人で争われ、村山氏が初当選した)。

後藤氏も表明 宮越氏は静観

 後藤氏は3月に会見を開き、出馬の意志を示した。現在は東京に住み、緊急事態宣言の期間中は県をまたぐ移動を控えているという。公約は「直江津と佐渡島に橋を架ける」とし、その概要や効果などを選挙戦前か期間中に上越市に入り、街頭演説やチラシ配布などで訴えていくとしている。

 宮越氏は市議の活動と並行し、子育て世帯を経済的に支援する「子供年金」ののぼり旗設置や、紙面に自身の政策の考えを載せるなど、意欲と存在感を示している。出馬を探る動きとも取れる中、「上越を再び何とかしたいという思いは強いが、市長選に関しては『静観自得』の心境だ」と話した。

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